2013年1月25日8:35
コールセンター調査速報2012
脱マニュアル化への挑戦
総 論: コールセンターに求められているのは
マニュアルを“土台”とした臨機応変な“プラスアルファ”の対応
画一的な対応でお客さまの満足を獲得することは難しい。しかし、マニュアル依存からの脱却は一朝一夕にできるものではない。“企業を代表する”意識を持ったコミュニケータを育成するための教育と、権限委譲をどのように進めるかが、重要な課題となっている。
“マニュアル一辺倒”の対応からの脱却
2012年1月、「(社)日本テレマーケティング協会(JTA)」は、「(一社)日本コールセンター協会(CCAJ)」に衣替えした。これはマーケティング手法を示す“テレマーケティング”という単語よりも、その実行組織である“コールセンター”という単語の方が社会一般に定着したことを象徴している出来事と言える。
それでは、コールセンターはどのような業務を担当する組織として運営されているのだろうか。本誌が2012年10月15日~ 11月30日に実施した独自調査「テレマーケティングおよびコールセンターに関するアンケート」によれば、その実施アプリケーションとして最も比率が高いのは「カスタマーサポート」であり、中でも特にB to Cの「問い合わせ受付」「苦情受付」は調査対象企業の9割以上が実施している。
コールセンターの登場・定着以前、これらの業務はそれぞれの事業や商品部門の担当者が、業務の傍らで行うというかたちが一般的であった。コールセンターの多くは、これらの業務を集約することで作業効率を高め、同時に対応品質の向上を図るために設置されたのだ。このような経緯があるため、コールセンターは長らく“効率化”や“生産性の向上”を至上命題とするコストセンターとして位置付けられてきた。そして、その中で品質の維持・均質化を担保するために重用されてきたのが“マニュアル”である。
しかし昨今では、このようなあり方が通用しないシーンも増加している。多くのセンターでは、よくある問い合わせや苦情はFAQとしてWebサイトに掲載し、生活者の自己解決を促している。その結果、センターに寄せられる問い合わせや苦情の内容は、マニュアルでは対応し切れないイレギュラーな内容のものが増加する傾向にある。また、コールセンターの認知度が向上するにつれ、生活者のセンターに対する要求も高まり、画一的で事務的な対応が「親身さが足りない」という批判につながるといったケースも増えてきた。
このような状況の中、近年では“マニュアル一辺倒”の対応からの脱却に取り組むコールセンターも目立ちつつある。今回の特集では、“脱マニュアル化”に積極的に取り組むセンターのケーススタディや、今年で14回目となる「テレマーケティングおよびコールセンターに関するアンケート」の結果を中心に、その現状と方向性を探った。