2013年2月25日8:00
好機あり!シニア・マーケット攻略法
シニア世代の多様性を踏まえた
きめ細かなコミュニケーションの設計が求められる
シニア世代はその価値観やライフスタイル、周辺環境などにおいて、ほかの 世代と比較して“個”の多様性が顕著だ。シニア・マーケットを制するには、 それぞれの“ 個”を尊重しながら、納得を得られる商品やサービスの提供 を行っていくことが不可欠だろう。
ついに到来した“4 人に1 人が高齢者”の時代
「遠からず4人に1人が高齢者の時代が到来する」という新聞記事に驚いたのはいつのことだっただろうか。早い段階から少子高齢化問題が叫ばれ、さまざまな対策が講じられてきたにもかかわらず、日本は世界最速で高齢化の道をたどっており、すでに今年(2013年)、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の占める割合)が25%を突破することが確実な情勢だ。その動きは今後さらに加速する見込みであり、2025年には30%、2055年には40%を超えると推定されている。
また、“高齢者”というワードには、“社会的弱者”や“福祉の対象”といったイメージが付きまとうが、一般に「1,500兆円と言われる個人金融資産の6割は60歳以上の層が保有している」と言われるように、経済的に余裕があるシニア層も少なくない。
つまりシニア・マーケットは、量的にも質的にも現在のわが国において最も注目すべきマーケットであり、内需に限って見れば、シニア・マーケットへの対応いかんが企業の明暗を分かつとさえ言えるだろう。
このような認識から、すでに多くの企業がシニア・マーケットの攻略に取り組んでいるが、成功への方程式はいまだ確立していない。その要因としては、まず、シニア世代はその価値観やライフスタイル、周辺環境などにおいて、ほかの世代と比較して“個”の多様性が顕著であることが挙げられる。従って、その満足を得るためには個別対応の必要性が高く、一定の成功法則が見いだしづらいのだ。
また、企画を立案するマーケターの多くが、シニアとしての生活を実体験していないことも要因のひとつだ。だから机上でいくら考えても、なかなか顧客視点に立つことができないのである。
そして、いくらアクティブな層が増えているとはいえ、加齢による身体の衰えは避けがたい。しかし客観的に見て身体の衰えが認められても、それをストレートに指摘されたくないシニア層にはデリケートな対応が必要となり、微妙な“さじ加減”が要求されることが、シニア対応の最適解の追求を難しくしている。
今回の特集では、シニア対応に積極的に取り組む企業・団体のケーススタディを中心に、シニア・マーケット攻略のあり方を探った。