2013年3月25日8:00
顧客を動かす動画のチカラ
総 論:他メディアとの連携によって動画の訴求力・説明力を最大限に活用しよう!
動画は、これまでインターネット上の表現の中心であったテキストや静止画像と比較して、高い訴求力・説明力を有している。そのポテンシャルを生かすためには、動画を組み込んだマーケティング・プロセスを構築し、PDCAサイクルに基づき、改善を積み重ねていくことが不可欠だろう。
動画を活用しやすい環境が整う
近年、ブロードバンド環境の急速な整備やYouTubeをはじめとする動画共有サイトの普及により、動画のインターネット視聴が一般化してきた。さらに最近では、スマートフォン(以下、スマホ)やタブレットなど場所を選ばずに動画を視聴できるモバイル端末の普及が進んでいることから、今後、このような動きがさらに加速していくことは間違いないだろう。
一方、企業サイドにおいても動画を活用したマーケティングを展開しやすい環境が整いつつある。従来、Web上で多くのユーザーに動画を視聴させるためには、大量のアクセスに耐え得る回線やサーバの確保が必要であった。また、著作権保護のためにコピーを防止したり、視聴期間やエリアに制限を設けたりすることが必要となるケースもある。さらに、Webマーケティングの一環として動画配信を行う以上、視聴ログを管理・分析する仕組みも必須であり、これらすべてに対応しようとすると、多大なコストに加え、ノウハウや人的リソースが必要とされた。しかし、昨今では、これらをパッケージとして提供するクラウド型の動画配信サービスが充実しつつあり、また、その利用コストも低下傾向にある。このような中で多くの企業が、さまざまなかたちで、動画マーケティングへのチャレンジを進めている。
動画をテキストや静止画像と比較した場合、まず際立っているのはその訴求力の高さだ。
例えば、Webサイト上で自動車を紹介するケースを考えてみよう。テキストと静止画像を用いれば、自動車の購入を検討しているWebサイトユーザーに、自動車のフォルムやスペックなど、必要な情報を提供することはできる。しかし、動画によってエンジン音とともに疾走する自動車の姿を見せることができれば、それ以上に自動車好きなユーザーの購買意欲を喚起することが可能になる。さらに、さまざまなシチュエーションの走行シーンを見せれば、その自動車を運転する自分の姿を想像させ、ディーラーに出向いて試乗してみたいという気持ちを後押しすることにもなるだろう。動画はユーザーの感性を刺激することで、テキストと画像による理性への訴求の効果をも高めるのだ。
また、説明力の高さにおいても優位性が高い。例えば家具の組み立て方をいくら説明書で詳しく解説しようにも、テキストと図、写真だけでは表現力に限界がある。その結果、組み立てに手間取った顧客の満足度が大幅に低下してしまうことも考えられよう。その点、動画であればさまざまな角度から組み立て作業の詳細を見せることができ、作業効率を大幅に向上させることが期待できる。実際に、組み立て式家具で人気を集めるIKEA(イケア)では、Webサイト上にテレビ収納ユニットやチェストの「組み立て方ビデオ」という動画コンテンツを設け、顧客満足度の向上に役立てている。
しかし、現時点では、動画のマーケティング活用は発展途上で、多くの企業が最適解を目指して試行錯誤を続けている。今特集では、動画活用に積極的に取り組む企業のケーススタディを中心に、動画マーケティングのあり方を探った。