(9)ソフトバンクモバイルのNFCにかける期待とは?

2010年9月3日13:40 

国内で最も早くNFCの実証実験を実施
「NFCを使ったサービス事業者に喜ばれるプラットフォームを提供したい」
 

 ソフトバンクモバイルは2008年にスマートポスターや決済実験を行うなど、NFC技術の可能性には古くから着目している企業だ。同社 プロダクト・マーケティング本部 事業推進統括部 モバイルペイメント企画室 室長 木下直樹氏にNFCにかける期待と展望について説明してもらった。 

スマートポスターと決済アプリケーションの実証実験を実施 

インフラコストはFeliCaに比べて安価に 

――御社のNFCに対するこれまでの取り組みと期待についてお答えください。 

木下:弊社では2008年にNFC技術に対応した携帯電話を用いた「スマートポスター」システムの実証実験、「MasterCard PayPass」による決済アプリケーションの実証実験を千葉県幕張の複合商業施設で行いました。われわれはプラットフォームを提供する側なので技術へのこだわりは強く持っていますが、広くご商売をされている事業者の方は、携帯電話に搭載されているチップがFeliCaであろうが、NFCであろうが関係のない話です。 

プロダクト・マーケティング本部 事業推進統括部 モバイルペイメント企画室 室長 木下直樹氏

現在、日本におけるおサイフケータイの出荷台数は6,000万台を超えています。日本の人口を考えれば半分の方が持っている計算になります。インフラはすでに整っているのですから、あとはどういったビジネスをするのかを考えるだけです。しかし、現状では各事業者が思い描いたビジネスを展開できていません。弊社は携帯キャリアとして技術革新を追及する立場ですが、NFCは可能性の1つとして追及していますし、ビジネスの検討も行っています。 

おサイフケータイは基本的に国内でしか利用できませんが、NFCならば世界中で利用でき、サービス提供にかかるコストが低減される可能性があります。2年前の実験でも、端末などのインフラコストに関してはFeliCaに比べて相当安価に提供できることがわかりました。 

GSMAの分科会「Pay-Buy-Mobile」では、NFCについても積極的に議論しています。日本は島国なので意識しづらいのですが、欧州などでは自国同様に携帯電話のサービスを共通して利用できる環境が整っています。携帯電話にNFCチップが搭載されれば、例えば日本人が海外に旅行しても現金の両替などの課題が解消されますし、逆に外国人の方が日本に来た時の決済が簡便になります。どのキャリアも国をまたいだNFCの標準化に対する思いは1つです。 

KDDI、韓国のSKテレコムと覚書を締結 

NFCは5年以内にビジネスとして成熟? 

――7月7日には、KDDI、韓国のSKテレコムと共同で、NFCを活用し、日韓両国で利用可能な決済やクーポンなどのサービスと、それらを実現する設備の相互利用の可能性を検討する覚書を締結されました。 

木下:NFCビジネスのようなインフラビジネスの場合は、ある一定の合意形成を持ってやらないと浸透のスピード感はでないだろうと考えました。KDDIと弊社が連名でサービスに関するプレスリリースを出すことは非常に珍しいケースです。 

――携帯電話にNFCが搭載されるタイミング、またビジネスとして成熟するタイミングはいつになると思われますか? 

千葉県の複合商業施設でNFCの実証実験を実施

木下:携帯電話への搭載のタイミングは5年以内には何とかなると思っています。おサイフケータイに関しても6年前にはほとんどありませんでしたが、6年経って6,000万台になりました。市場の流れから考えて、今後は自然とスマートフォンから搭載されるでしょう。弊社ではNFCにより、本来やりたかった「生活シーン」での利用を成就させたいと考えています。分厚いおサイフを薄くして、携帯電話を日常生活のポイントやクーポン、スマートポスターなどに利用していただきたい。 

FeliCaの行く末は? 

TSMの業務も検討へ 

――「アップルがNFCの技術者を採用した」「iPhone5にNFCチップが搭載される」などのニュースが連日のように報道されています。海外ではTypeAやTypeBが利用できる環境が整っていますが日本ではFeliCaが中心です。その点についてはどのようにお考えでしょうか? 

木下:将来的にはFeliCaとNFCのデュアルチップが携帯電話に搭載されることもあるかもしれません。携帯電話にNFCのリーダライタが搭載されることにより、喜ばれるサービス事業者の方は確実に増えるでしょうし、マイナス要因よりもプラス要因の方がむしろ大きいと思います。 

――NFCアプリケーションを管理・統括する存在であるTSM(Trusted Service Management)の業務を担うことは考えていますか? 

木下:TSMについては検討していますが、弊社としての収益性よりもむしろ、サービス事業者に喜んでいただけるようなビジネスモデルを提供していきたいです。そのためには携帯電話のキャリアが一定のポジションを担っていくのは筋だと思います。キャリアのビジネスモデルとしては通信料が前提ですので、TSMは付加価値として展開し、将来的に「ソフトバンクモバイルの携帯にNFCが搭載されてよかった」と多くの方に言っていただければと考えています。

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