(3)「大手印刷会社のNFCビジネスへの取り組み」~大日本印刷

2010年7月16日 00:00
 
“イエナカ・マチナカ”をつなげるNFCソリューションに注力 
「非接触クレジット」「デジタルサイネージ」「スマートポスター」がターゲット
 
大日本印刷では古くからNFCビジネスに着目しており、NFCフォーラムにも、日本のカードベンダーの中では最も早く「プリンシパルメンバー(理事会以外の委員会やワーキンググループなどへの参加権、投票権、被選挙権を有する)」として参加した。従来のICカードビジネスで培った開発力・企画力をさらに発展させ、NFC技術を活用した“イエナカ・マチナカ”をつなげる安心・安全・便利なソリューションの提供を目指している。また、SI・機器メーカーやサービス事業者などと連携し、NFCインフラの構築に注力している。同社 デジタルセキュリティ本部 NFCプロジェクト リーダー 鈴木英治氏に同社の取り組みについて聞いた。 

低価格ICカードやモジュールの開発にも注力 

KDDIの実証実験にも参加 

デジタルセキュリティ本部 NFCプロジェクト リーダー 鈴木英治氏

大日本印刷では、NFCがもたらす変革として、廉価なNFCタグ、NFC対応スマートフォン、複数方式の非接触ICカードとタグを1台で読み書きできるリーダライタの登場、という点に注目している。これまでICカードが普及しなかった分野にまでICカードが浸透し、生活スタイルが大きく変わる可能性があるということである。また、NFCは国際標準規格として承認されているため、海外と相互互換のあるサービスが広がっていくことにも注目している。 

同社のNFCソリューションはカードなどのNFC媒体、リーダライタなどのハードウェア製品、ソフトウェア製品、サーバシステムの4つに分類される。同社では、NFCが普及した際、アプリケーション・サービスなどを提供するサーバシステムの重要性が増すと見ている。なかでも先行して立ち上がるアプリケーションは、「非接触クレジット」の決済分野と「スマートポスター」「デジタルサイネージ」などのプロモーション分野である。 

非接触クレジットは、日本ではFeliCa系アプリケーションが主流であるが、海外でも使えるMasterCardのPayPass、VisaのVisa payWaveなどをNFC携帯に搭載する動きも出てくる。同社の「モバイルビューロ」は、FeliCa対応携帯電話に対し、クレジットカード、会員証などのパーソナライズデータを配信するサービスとして、多数の実績がある。NFCビジネスの展開時には同サービスを応用することが可能だ。なお、同社では、PayPass搭載カードを製品化し、クレジットカード会社へ販売している。 

NFCアプリケーション

 また、ポスターに貼ったNFCタグに携帯電話をかざし、専用のURLなどに誘導して情報を配信するスマートポスターのソリューション開発にも力を入れる。NFCフォーラム準拠のNFCタグの開発・製造はもちろん、サイト誘導を制御するサーバ機能の提供まで行う。ポスター、DMなどの印刷物の製造と連携して付加サービスの提供が可能になる。 

デジタルサイネージにも積極的に取り組んでおり、「アクティビジョン」などの次世代型デジタルサイネージ機器を製品化している。アクティビジョンは、リーダライタ・プリンタ・カメラなどが実装可能な据え置き型デジタルサイネージである。駅・観光スポット・商業モールなど公共の場に設置し、地域カードサービスと連携して、店舗などに送客することができる。 

2007年にはNFC対応の小型軽量リーダライタモジュール「MARIDA(マリダ)」を開発。パソコンに組み込むタイプから携帯電話に搭載する超小型タイプまで、さまざまな用途に適したモジュールの開発を行っている。さらに、世界50カ国以上、約360のクライアントに、2,000万台以上の出荷実績を持つリーダライタメーカーであるSCMマイクロシステムズと協業し、同社のNFC対応リーダライタの国内販売も行っている。 

0.28mmの薄さを実現した超薄型非接触ICカード

 カード媒体では、2010年にNFC機器との連携も視野に入れた超薄型非接触ICカードを開発。NXPセミコンダクターズのMIFARE Ultraliteを使ったカードで、0.28mmの薄さを実現した。価格は10万枚のロット時で50円。利用イメージとしては、メンバーズカード、ポイントカード、ギフトカードなどを想定している。また、公共系サービスを中心にTypeBのカードが今後、普及するだろうというのが同社の見解だ。 

NFCサービスの商用化に向けて、KDDIが5月から行う実験にも参加。同社関連の実験では丸善、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で7月から実証実験を開始した。 

NFCタグ内蔵ポスターをNFC携帯電話で読み取る様子(gggでの実証実験)

丸善で行う実験では、利用者がデジタルサイネージにNFCケータイをかざすことで、限定情報の閲覧や、コンテンツの試読、リコンメンド情報を受けることが可能である。gggではポスターに添付されたNFCタグにNFCケータイをかざすことでURLに誘導し、作品の解説情報の閲覧ができるサービスを行う予定だ。 

いずれの実験もBlueToothのハンドオーバーによる音声ガイダンスを提供する予定である。2つの実験により、NFCの基本3機能である、カードエミュレーションモード、リーダライターモード、ピアtoピアモードの機能検証が可能になる。 

 「KDDI様の大規模な実験を行うことで、NFC対応の携帯電話が、早期に商用化されることを期待しています。さまざまな事業者と協業してNFCの普及促進に貢献していきたいと考えています」(大日本印刷 デジタルセキュリティ本部 NFCプロジェクト リーダー 鈴木英治氏)

NFCのブレイクは2012年?

FeliCaとは適用範囲が異なる 

NFCのブレイクに関しては「一般的には、2013年頃と言われていますが、NFC対応のスマートフォンの普及次第では2012年」(鈴木氏)と口にする。すでにフランスや韓国ではNFCの商用化に向けて準備が進んでおり、日本より海外市場が先に立ち上がる可能性がある。同社でも海外を見すえたビジネス展開も検討している。 

最後に、FeliCaビジネスとの影響ついて鈴木氏は、「日本では、世界より進んだFeliCaカードのサービスが数多く存在しています。さらに、NFCによりこれらのサービスに加えて新しいサービスが登場し、市場全体が成長していくことになるでしょう」と説明してくれた。

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