国内の全ホテルとゴルフ場に中国銀聯決済を導入(プリンスホテル)

2012年4月9日8:00

国内の全ホテルとゴルフ場に中国銀聯決済を導入
全国で事業を展開する強みを生かし中国人観光客の取り込みを図る

プリンスホテルは、都市型ホテルとリゾートホテル、ゴルフ場、スキー場などを併せもち、ホテル・レジャー事業業界では最大規模の企業となっている。同社では、三井住友カードと提携し、2008年4月から中国銀聯決済の導入を開始。当初は首都圏を中心とする30カ所のホテルに端末を設置したが、2010年初旬から全41ホテルと20ゴルフ場で導入を行っている。

プリンスホテル

全41ホテルと20ゴルフ場で導入

クレジットカードに比べ利用客の平均単価は高額に

「中国人観光客のほとんどの方が銀聯カードを持っており、中国のマーケット規模を考えても中国銀聯決済の導入の成果は見込めると考えました。宿泊者のカード利用についても、一昨年から徐々に伸びています」(プリンスホテル 営業部 次長 今井歩氏)

グランドプリンスホテル新高輪のフロントには銀聯のアクセプタンスマークを掲示(左)。「緑に囲まれたホテルをコンセプト」に客室全体を木目調の自然を意識したデザインに統一。電源・無線LAN内蔵の大型ライティングデスクを導入した(中)。ファミリー向けの4人部屋(右)など、利用人数にあわせてさまざまなルームタイプを用意した

中国銀聯は、2005年12月から、三井住友カードの加盟店開拓により、国内で展開を開始。2008年に観光庁による訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)がスタートし、2009年7月に個人富裕層への観光ビザの発行が解禁となるなど、普及に向けての後押しが進んでいる。昨年は震災の影響で日本に訪れる中国人観光客の数は減少したが、2012年に入り来日者数は回復傾向にあり、今後来日者数のさらなる増加が期待される。プリンスホテルにおいても中国からの宿泊者は、韓国・台湾・香港などのアジア地域の主な他国と比較しても大幅に増加しているという。

プリンスホテルでは、ホテルのフロントや売店などで銀聯決済が利用できるが、「利用単価については、一般的なクレジットカードの平均単価に比べ、かなり高い数字となっています」とプリンスホテル 高輪・品川 マーケティング戦略 マネージャー補佐 吉田賢史氏は話す。宿泊客については、これまでは団体旅行客が多かったが、最近では個人利用も増えているそうだ。

同社では、団体旅行で訪れた中国人観光客に対し、「熱烈歓迎」という横断幕を掲げ、宿泊を歓迎している。また、春節の際などは、独自の料理プランなども展開しているそうだ。

全国各地のホテルを拠点に新たなルートを開拓へ

カンファレンス開催後のゴルフ場利用にも力を入れる

現在、中国人観光客の旅行は、大阪に来日し、富士山を見学してから東京を観光するというルートが1つの形として定着している。その際に、現地の旅行代理店から宿泊に利用してもらうなどの提案も積極的に行っている。また、「プリンスホテルは全国各所にあるため、そこを拠点に新たなルートを開拓し、団体旅行はもちろん富裕層を中心とした個人旅行においてもぜひ利用していただきたいと考えています」と今井氏は話す。

約350種・約1万点にもおよぶ世界の海の生きものが住む水族館「エプソン 品川アクアスタジアム」でも銀聯決済が利用できる

特に、ザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルがある高輪・品川においては、「羽田空港からのアクセスも良好で、浅草や東京スカイツリーにも電車一本で行けるため、観光の拠点としてPRしていきたい」と吉田氏は力を込める。また、企業に対しては、交通アクセスの良いグランドプリンスホテル高輪や品川プリンスホテルでカンファレンスを開催してもらい、その後リゾートや温泉を楽しんでもらうことも考えられる。プリンスホテルでは北海道や軽井沢などにゴルフ場を運営しており、ゴルフ場でも銀聯決済が可能になることで、新たな顧客層を開拓できると期待している。

現状、プリンスホテルの宿泊者の傾向として、香港や台湾からの旅行者はリピーターが多くなっているが、中国人観光客ははじめて日本に来日する人がほとんどのため、再度利用してもらえるように努めていく方針だ。

すでに、同社のWebサイトは繁体字・簡体字にも対応しているが、「まだまだ訴求としては弱いため、より分かりやすいサイトを目指していきたい」と今井氏は意気込みを見せる。ほかにも、同社では、現地の国家観光局主催の旅行博への出展、在日中国企業へのセールス活動、中国語パンフレットのリニューアル(繁体字・簡体字)、客室への中国語サゼッションカード(顧客の意見を記入してもらうシート)の設置などを行い、中国人の受け入れ体制を強化している。

現状、中国人観光客はATM利用が9割を占める

カード利用を三井住友カードなどと訴求へ

なお、銀聯決済については、三井住友カードのアクワイアリングのもと、INFOX端末を導入しており、クレジットカードと同じ端末で銀聯決済の処理が可能となっている。クレジットカードは、PINもしくはサインの入力となっているが、銀聯カード利用者は決済時にPIN(暗証番号)とサインの入力が必須となる。

左から、プリンスホテル 高輪・品川 マーケティング戦略 マネージャー補佐 吉田賢史氏とプリンスホテル 営業部 次長 今井歩氏

今後は、カード会社などと協力し、さらなるカード利用の促進に力を入れる方針だ。今井氏は、三井住友カードが主催した中国銀聯の研修に参加したが、「銀聯カード利用者の全体の9割がATM利用となっており、カードを使って買い物をする方はまだ10%程度です。当ホテルでもATMで現金を引き出してお支払いをする方が多いため、銀聯カード決済を利用していただくためのPRをカード会社などと共同で行う必要があると思いました」と話す。

また、日本に旅行する中国人観光客は、友人からお土産を頼まれる人も多く、現金を預かって来日するなどの要因もあるようだ。

プリンスホテルは、中国語で「王子大飯店」という呼び名になり、名前自体のイメージも中国人から見ると高級感があるという。同社では今後も中国人観光客の利便性向上に努めるとともに、銀聯カードの利用拡大を目指していく方針だ。

⇒⇒⇒特集トップへ

page toppagetop