NFCとAndroidスマートフォンを活用した「街コン」を横浜で開催(濱コン事務局)

2012年10月15日8:30

NFCとAndroidスマートフォンを活用した「街コン」を横浜で開催
「FeliCa Lite」を活用しリアルタイムに参加店舗の見える化を実現

地域活性化活動のスタイルとして注目を浴びる「街コン」は、複数飲食店を回遊しながら各店舗での男女の新しい出会いを楽しむ参加型の町興しイベントである。現在、ほぼすべての都道府県で街コンのイベントが定期的に開催されているが、横浜の濱コン事務局(DAS)では、NFC(Near Field Communication)とスマートフォンを活用した「街コン支援システム」を開発し、これまで3回にわたり運用している。

一人当たり4~5店舗を周遊
Androidスマートフォンを読み取り端末として活用

「濱コン」は、横浜の街と一体化したイベントで、震災などで消費が落ち込む中、地域の商店街を盛り上げる目的でスタートした。参加者は約30店舗を3時間30分自由に渡り歩きながら出会いを楽しめる。毎回1,000人~1,500人が参加するイベントとなり、街コンブームの火付け役にもなった。

「濱コン」の受付で事前登録情報とNFCタグの情報をひもづける(左)、1,000人以上が参加する大規模イベント「濱コン」(右)(画像提供:濱コン事務局)

同イベントの参加者は、男女それぞれ2人組で申し込み、1店舗目は事務局が指定するが、30分経つと各自が好きな店舗をまわって、食べ放題・飲み放題でイベントを楽しむことができる。濱コンアプリの統計では、一人当たり一回の開催で平均4~5店舗をまわっているそうだ。

DASでは、ArinosおよびブリリアントサービスとNFCを活用したクラウド型・街コンアプリを共同開発し、第5回の濱コンイベントから運用している。DAS 代表取締役社長/CEO 小川真輔氏は、「参加者に濱コンをさらに楽しんでいただくための仕掛けとしてNFCを採用しました」と説明する。

参加者は、30分経つと好きな店舗に移動できるが、以前はどの店舗が混雑しているのかを正確に把握することは難しかったという。DASでは、参加者に向け空席情報サイトを提供していたが、各店舗にいる運営スタッフが空席情報を手入力していた。そのため、どうしてもタイムラグが発生し、参加者に正しい情報を伝えられないこともあったそうだ。

DASでは、ブリリアントサービスからNFCシステムの提案を受け、システム開発に至った。NFCを利用した店舗の管理機能では、イベントスタッフが持つ専用アプリをインストールしたAndroidスマートフォン「Galaxy Nexus S」で、参加者のICチップ付きリストバンドを非接触でタッチすることにより情報を取得し、リアルタイムに全店舗の席数状況の見える化を図ることが可能になった。

プレイベントの課題解決に向けカードを活用
NFCシステムのユーザーの理解度は高く、反応も上々

DASでは、プレイベントを8月17日に開催。濱コンでは、参加者にリストバンドを配布していたため、そこにFeliCa Liteを貼り付ける形で運用を開始した。参加者は、受付のPCで個人のID番号とリストバンドに添付したFeliCa Liteの紐付を行う。各店舗に設置したスマートフォンのNFCリーダにタッチして入店し、他の店舗に移動する際にも同様にタッチして退店する。NFCを利用したシステムを採用することにより、店舗スタッフにとっても面倒な入力作業を行わなくて済むようになった。

参加者は入店、退店時にスマートフォンにNFCタグを添付したカードをかざす(左)、スマートフォンに店舗の情報がリアルタイムに表示(右)(画像提供:濱コン事務局)

「最初にNFCシステムを採用したプレイベントは200人規模で行いましたが、夏の暑い時期だったため、汗などの影響で水に弱いICチップが読み取れなくなるなどの課題がありました。結果的にリストバンド200個のうち5個が読み取り不能になり、リストバンドに添付したFeliCa Liteの位置も把握が難しかったため、2回目の運用ではカード型に変更しました」(小川氏)

9月8日に関内で開催されたイベントでは男女各500人が参加。当日は8台のPCで受け付けを行い、運用はプレイベント同様に実施。小川氏は、「首都圏ではSuicaなどでICカードをタッチすることに慣れているせいか、ユーザーの理解度が高く、反応も良かったです」と成果を語る。

ただその一方で、若干通信速度が遅いと感じる人もいたそうだ。基本的に、スマートフォンからセンターサーバに3G回線で接続しているため、読み取り時間がかかっていたが、その課題も9月に野毛で開催したイベントで解決できたという。

カードは最終的に参加者から回収しているが、「参加者が最後に訪れた店舗でデザート券と兼用し、所定の時間に回収しています」と小川氏は語る。なお、8月のイベントでは、FeliCa Liteに加え、その次世代製品である「FeliCa Lite-S」を併用した。

12月の開催ではゲームにより空席情報サイトの閲覧者を増やす
NFCシステムで他の街コンイベントを支援へ

過去3回のイベントにおける課題としては、空席情報サイトを自発的に確認する人が少ない点が挙げられる。その反省を生かし、12月に開催予定のイベントでは、4店舗に各30分以上滞在した人にキャッシュバックを行うゲーム要素を取り入れる予定で、その対象店舗を空席情報サイト上に明記することでサイトアクセスを誘導する狙いだそうだ。

DAS 代表取締役社長/CEO 小川真輔氏

なお、濱コンは、NFCの普及促進に向け、ソニーのFeliCa事業部が協賛している。ソニーでは、ベンチャー企業が、タグ費用の初期負担による障壁でサービス化を断念することなく、有用なアプリケーションサービスの導入できることを目的とした「NFCチャレンジ!普及促進プログラム」を立ち上げた。今回の濱コンは、その第一弾認定プロジェクトとなった。NFCシステムの稼働に向けては、ソニーとブリリアントサービスから手厚い協力を受けたため、今後も両社と協力してよりよいサービスを構築していきたいという。

現状、これまで開催したイベントでは、回収したFeliCa LiteおよびFeliCa Lite-Sについては再利用せず、毎回新しいチップを利用している。シール型の場合、カードからシールがはがれにくいこともあり再利用が難しいため、12月のイベントでは、再度リストバンド型に戻し、水に強いラバータイプを採用し、使用後は消毒して再利用する方針だ。

DASでは今後、ブリリアントサービスと協力し、他の街コンイベントにも積極的にNFCシステムを横展開していきたいとしている。実際、DASでは、兵庫県神戸市や山梨県甲府市などでも街コンイベントを支援した実績がある。小川氏は、「すでに他の地域で街コンを展開する企業からの引き合いも寄せられており、通信環境の整備や消費者の理解度が深まれば全国でNFCシステムが普及する可能性は十分にあります」と自信を見せる。濱コンでの継続した運用に加え、同アプリを10~20の事業者を目標に展開し、次世代の街コンスタイルを確立していく構えだ。

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