日本オンラインゲーム協会(JOGA)の不正アクセス防止に向けた活動(上)

2013年2月4日8:00

日本オンラインゲーム協会(JOGA)の不正アクセス防止に向けた活動(上)

日本オンラインゲーム協会(JOGA)では、セキュリティに関するワーキンググループ「不正アクセス分科会」を設け、会員企業が提供するオンラインゲームサービスのセキュリティ品質を高めるとともに利用者に安心・安全に楽しんでもらえる環境を提供すべく議論、活動しています。JOGAの会員企業のクレジットカード利用における本人認証サービス「3‐Dセキュア」の普及率は非常に高く、スマートフォンや携帯電話を利用した「ワンタイムパスワード」を採用したシステムを独自開発するなど、セキュリティ強化に取り組んでいます。

売上は年々、右肩上がりの成長を見せる
オンラインゲームには未整備の課題が多数存在

JOGAは2007年に設立し、2012年11月14日現在、オンラインゲームパブリッシャーが31社、ベンダーが14社となり、計45社で活動しています。現在、オンラインゲーム会社としては、NHN Japan、エヌ・シー・ジャパン、ゲームオン、ゲームポット、ネクソン、ケイブ、ガマニアデジタルエンターテインメントなどが参加しています。

そもそもオンラインゲーム自体が新しいビジネスであり、他の業界に比べ未整備の課題が多数存在しています。それにより、ゲームをプレイするお客様が不利益を被ることもあり、健全な市場を構築するためにJOGAは設立されました。

オンラインゲーム市場規模の推移(JOGA オンラインゲーム市場調査レポート 2012)※PC、コンソールのオンラインゲームサービス合算

オンラインゲーム市場の動向として、JOGAの設立の時期にはPCのオンラインゲームがプレイされていましたが、最近ではグリーやモバゲーなどのソーシャルゲームが登場しています。オンラインゲームはアイテム課金が主流ですが、2011年度の概算で1,400億円の市場に成長しています。2007年頃まではロールプレイングゲーム(MMORPG:Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)という多人数が集まってゲームを行うサービスが主流で、一定数以上のアイテムが安定した売り上げをもたらしていました。2008年以降もタイトル数が増加し、市場規模のベースとなっています。従来のPCオンラインゲームのクライアント型ゲームですと、ダウンロードしないとゲームがプレイできませんでしたが、ここ最近の潮流としてはWebブラウザベースのゲームが登場しており、立ち上げと同時にIDとパスワードによるログインによりプレイが可能になりました。それが市場の拡大を牽引しています。

一方、売り上げの増加とともに、事業者の数も2004年に比べると約2倍に増えています。現在のビジネスモデルのオンラインゲーム発祥の地である韓国をはじめ、台湾などの海外企業、純粋な日本企業などが事業を展開しています。また、オンラインゲーム事業者がソーシャルゲームへ、ソーシャルゲーム事業者がオンラインゲームへの参入が見受けられます。ただ、人気タイトルが継続されて利用される中、ライフサイクルが短い商品もあることは事実です。

売上の構成として、多くのゲームはプレイするタイミングでは無料で楽しめるものがほとんどですが、ゲームを進めていく中でキャラクターを強くするためのアイテムや希少価値の高いアイテムを「アイテム課金」でご利用いただく割合が高いです。

「RMT」などの問題が顕著に
犯罪者はゲーム会社、利用者に対してさまざま不正を働く

不正被害に関しては、2011年末から2012年初頭には、非常に多くの外部攻撃を受けたゲームもありました。NHN Japanを例にとると、2012年の夏過ぎからは落ち着いている状況です。しかし、年末から年始にかけて一般のお客様も数多くの方が利用するため、今以上の対策を進めていきたいです。

不正の背景としては、「RMT(リアル・マネー・トレード)」と呼ばれるMMORPGを中心として稀有なアイテムの高額な売買や販売などで収入を得る目的が中心となっています。オークションサイトでのアイテム販売に加え、RMTサイト等で売買されているケースもありますが、法的な対応根拠がないため、RMT業者も国内に存在しているのが現状です。不正の動機はほとんどがこのケースといっても過言ではなく、RMTで多くの売り上げを上げるために不正行為を働きます。

具体的な行為については、ゲーム会社への不正に加え、オンラインゲームを利用されるお客様への不正も発生しています。例えば、「SQLインジェクション」により、IDとパスワードを奪い去ったり、「スピードハック」という高速でキャラクターやアイテムを育成できる手段により、売り買いのしやすいアイテムを育てたり、「デュープ」と呼ばれるコピー手法を利用して希少価値の高いアイテムを増殖させる手法などが用いられています。

また、標的型攻撃(APT)でゲーム開発者を狙い、サーバになりすましで侵入し、ゲームサーバを乗っ取る手法もあります。さらに、利用者に対しては、ソーシャルエンジニアリングを利用してゲームのアイテムをプレゼントするなどと謳い、IDとパスワードを聞き出す犯罪も発生しています。加えて、不正に入手したクレジットカードを使用して決済が行われるケースも見受けられます。

RMTはJOGAの各企業の会員規約で禁止していますが、これを禁止する法律はないため、現状は業界としての自主的なガイドラインとなっています。

※本記事は2012年11月15日に開催された「ペイメントカード・セキュリティフォーラム」のNHN Japan株式会社 法務・政策室 情報セキュリティチーム マネージャー 増村洋二氏の講演をベースに加筆を加え、紹介しています。

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