2013年3月4日22:32
NEC(日本電気)は、グローバル事業戦略の一環として、アジア大洋州(APAC)地域の統括会社であるNECアジアパシフィックに、「Regional Retail Business Support Center (RBSC)」を本年5月に設置し、小売業向けソリューション事業の強化・拡大を図る。
世界のGDPを見た場合、金融危機以降、先進諸国は低調であるが、アジア地域の経済発展は、今後も他地域に比べ高い伸びが予想される。NEC 執行役員常務の木下学氏は、「特に、フィリピン、ベトナムなどの、APAC地域のGDPの伸びが期待できる」と説明する。また、ASEANによる中間層の拡大傾向がみられ、可処分所得の高い伸びが期待されるそうだ。
国内での小売業をみると、60年代は百貨店、70~80年代はスーパー、90年代からはコンビニエンスストアが成長している。同社では今後、アジアでもコンビニエンスストアが主役になると予想する。NEC グローバルリテール・サービスソリューション事業部長 石井力氏は、「APACは、日本のコンビニエンスストアが産声をあげた30~40年前の市場に似ている」と話し、「アジアのお客様の中には、今後は5,000店舗を超えてくる店舗はどんどんでてくる」と多店舗型の小売の伸びに期待している。
NECでは、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクスなど、国内約4万5,000店舗のうち約3万店のサポートを行っている。国内では、顧客にフォーカスしたポイントや電子マネーといったシステム、商品を軸にしたバックオフィス・本部システムをはじめ、POSの安定稼働からPDCAサイクルの両輪を確立している。
NECではこれまで、国内の大手小売業向けを中心に、店舗での売上・発注・棚卸・検品業務から本部での店舗管理・商品管理までを網羅するPOSシステム、ハンディターミナルシステム、店舗バックオフィスシステム、本部システムをトータルソリューションとして提供してきた。今回、これらのソリューションをグローバル向けに標準化し、システム企画、開発、導入/展開、運用/保守のノウハウとともに、RBSCに展開するという。
NECは現在、世界で5万3,000店舗をサポート。近年は新興国市場の成長に合わせ、広域多店舗業態への導入実績が多くなっているそうだ。
RBSCは、地域戦略の立案やセールスサポート、技術サポート、人材育成などを行い、マレーシア、インドネシア、タイなどNECのAPAC地域の各現地法人と連携しながらコンビニエンスストアやドラッグストアなど多店舗展開型小売業に対し、現地主導できめ細かいソリューション提案やサポートを遂行していく。ターゲットとなる国は、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどとなる。
また、同社では、デマンドチェーンマネジメントを実現するパッケージソフト「DCMStar」を開発し、2012年9月から提供している。さらに、RBSCや各現地法人の小売業向けソリューションに関する営業力や技術力の継続的強化のため、Global Training Curriculum(GTC)をスタートした。GTCは、新規顧客アプローチ手法、販売チャネル管理、店舗・本部システム導入方法、製品概要など、営業、SE、保守要員に必要なスキルやノウハウを体系化したトレーニングコースを提供します。GTCを通して現地法人が主体的に事業活動を遂行できる基盤の構築を目指すという。
NECでは、今回の事業強化・拡大施策により、2017年度にAPAC地域の小売業向けソリューション事業で200億円の売上を目指すが、「グローバルでは早期に1,000億円のマーケットにしたい」(木下氏)としている。