日本の法人決済市場拡大を目指すVisaの戦略とは?

2013年12月25日8:00

日本の法人決済市場拡大を目指すVisaの戦略とは?
「カードの発行の強化」「加盟店開拓の強化」の二軸で展開

ビザ・ワールドワイドは、2013年12月12日、「日本の法人決済市場とVisaの戦略」についての記者説明会を開催した。同説明会では、日本の法人決済市場の現状、中堅・大企業向けの展開、中小企業向けの取り組み、企業間(BtoB)決済市場の可能性、政府向けのソリューションについての説明が行われた。

日本の法人市場のカード決済比率は0.2%
BtoB加盟店の開拓強化や決済プラットフォームの開発を検討

Visaは、消費者向けにクレジット(後払い)、デビット(即時払い)、プリペイド(前払い)に対応した決済ソリューションを展開しているが、政府、大企業、中堅企業、中小企業、個人事業主向けのプロダクトも提供している。

Visaのプロダクトの概要

Visaのプロダクトの概要

米国では、個人消費支出766兆円のうち、カード決済は283兆円で、カード決済比率は36.9%となっている。一方、日本は個人消費支出265兆円のうちカード決済は38兆円で、カード決済比率は14.3%にとどまる。法人市場を見ても、米国は2,120円の法人支出のうち73兆円(3.4%)がカード決済されているが、日本は940兆円の法人支出のうち2兆円(0.2%)と少ない。

その理由として、日本はカードの発行が銀行ではなく、カード会社が行っていることが挙げられるそうだ。カード会社は銀行に比べ法人与信は苦手と言われているため、取り組みは個人向けカードに比べて消極的となっている。また、法人の認知度もそれほど高くはない。

法人カードは、個人カード同様にVisaの加盟店で便利に利用可能だ。また、ポイントなどのインセンティブが付与されるなど、個人カードと同様のメリットがある。加えて、従業員の前払い金の処理・事後精算の煩雑な処理を1枚のカードで行うことができるなど、従来の課題を満たすツールとして活用できる。

Visaでは、カードの発行の強化、加盟店開拓の強化の二軸で法人向けソリューションの展開を行っている。カード発行の強化では、大企業や中小企業・個人事業主向けの発行支援を実施。また、BtoB加盟店の開拓強化や決済プラットフォームの開発を検討している。

中堅・大企業のカード取引の対象は販管費と出張接待費の2分野
財務管理システムとの統合で経費管理をスムーズに

中堅・大企業に向けては、カード取引の主な対象は販管費と出張接待費の2分野となり、支出の約3分の1にあたるため、パーチェシングカード、コーポレートカードの採用を進めている。

米国では企業改革法が2002年に制定。支出の見える化、ガバメント管理に強いニーズがあり、「経費支払いはコーポレートカードが義務化されている」(コマーシャルソリューション ジェニファー・フォン氏)という。一方、日本では社員による現金、個人カードの利用が許されており、個人カードのポリシーがないため、部長職以上しかカードを持てないケースも多い。また、米国は企業ニーズに応えるために、カード利用データを財務管理システムと統合可能だ。

日本では、発行会社と連携し、コンプライアンス、コスト削減、支出の可視化、プロセスの効率化が可能なカードの魅力を法人に訴えるとともに、財務管理システムとの統合などにも取り組んでいきたいとしている。

地域の金融機関と協力してビジネスカードの発行を支援
BtoB決済は決済頻度が多い原材料、仕入れなどの加盟店を開拓へ

ビザ・ワールドワイド コマーシャルソリューション 部長 加藤靖士氏(左上)、同事業部 ジェニファー・フォン氏(右上)、同事業部 山本尚氏(左下)、同事業部 森田智彦氏(右下)

ビザ・ワールドワイド コマーシャルソリューション 部長 加藤靖士氏(左上)、同事業部 ジェニファー・フォン氏(右上)、同事業部 山本尚氏(左下)、同事業部 森田智彦氏(右下)

中小企業に向けては、クレジット、デビットといったビジネスカードを提供。現状、国内には365万の中小企業が存在するが、ビジネスカードの保有率は18%となっている。日本のSME(中小企業)の業務用決済をみると、現金、振込、口座振替が7割以上となっており、「SMEトータルで154兆円が支払われているが、ビジネスカードは1.1%。個人カードの方が利用率は高い」とコマーシャルソリューション 山本尚氏は説明する。

Visaでは今後、中小企業と密接な関係のある地域の金融機関などと一緒にビジネスクレジットカードの発行を支援していく方針だ。また、法人向け優待プログラム「Visaビジネスオファー」の特典についても告知していきたいとしている。さらに、ビジネスクレジットカードの場合、与信金額は一般カードで30~50万円、ゴールドで100万円程度となっているが、今後は与信が不要で入金額の範囲内で利用できるビジネスデビットカードの発行支援も行う方針だ。

企業間(BtoB)決済については、決済規模は約700~950兆円あると言われる。BtoBでのカード決済については、決済頻度が多い原材料、仕入れ、運送、輸送費などであればメリットを感じてもらえるとしている。例えば、建築業は国内に約84万社あり、多くが個人事業主のため、大工がどういったところで材木を買っているのかを調べれば開拓を強化する加盟店が見えてくる。また、42万ある飲食業は、「アルコールの卸業者を加盟店にすることでカードを持つ理由ができあがってきます」と、コマーシャルソリューション 森田智彦氏は分析する。Visaでは、BtoB戦略セミナーの開催に加え、新決済システムの構築も検討している。

税公金分野の支払いで成果
地方自治体に対し給付金のプログラムを訴求

政府向けのソリューションの提案も進めている。国内の公共分野の金銭取り扱い規模をみると、市民の税公金支払は6兆円、政府の調達支出は21兆円、社会保障給付は109兆円となる。Visaでは、これらの支払いを効率化する方法を提案している。ここ数年を見ると、「水道料金、軽自動車税など、税公金分野の支払いでカード決済の導入が進んできた」とコマーシャルソリューション 部長 加藤靖士氏は成果を語る。

カード活用の海外事例

カード活用の海外事例

海外事例をみると、米国では多くの州がガバメントのプログラムを展開。850の連邦政府省庁が物品調達・職員の出張費に利用しており、購買プロセスの簡素化により、1,700億円の年間経費削減効果があったそうだ。また、育児給付、失業保険、貧困家庭向け一時給付プログラムなど、40の州でプリペイドカードのプログラムが展開されており、500万枚が発行されているそうだ。

Visaでは、国内の地方自治体に対し、プログラムの提案を実施。例えば、定額給付金の受け取りに関しては、振り込みが多いイメージがあるが、多くの人が現金で受け取っている現状があるため、プリペイドカードによる支払いを導入することにより、地方自治体のストレスをなくすことができるという。

今後は、徴収分野で固定資産税、病院などの公共サービスへの導入を進めていく。また、政府の調達分野では、支払費目別などの導入実例を積み上げるとともに、本格導入に向けたパイロットケースの発掘・支援を行う方針だ。さらに、給付分野では、マイナンバー制度導入に合わせ、訴求を強化していきたいとしている。

執筆:池谷貴

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