2014年7月10日 8:00

3%の増税分を取り戻す「au WALLET」とは?

株式会社ポイ探 代表取締役 菊地崇仁

ポイント戦国時代」でも書いたが、携帯電話のポイントが大きく変わろうとしている。

2014年2月、KDDIは新しい電子マネーサービス「au WALLET構想」を発表した。通信料金で貯めたポイントを、電子マネーにチャージし、リアル店舗で利用できるというものだ。さらにその電子マネーを使うとポイントも貯まり、再度電子マネーにチャージすることが可能となる。「au WALLET」は2014年5月21日にサービスが開始された。

「au WALLET」は「電子マネー」と表現されていることが多いが、現在普及しているような非接触タイプの電子マネーではない。「MasterCardのプリペイドカード」のため、MasterCard加盟店で利用でき、支払い方法等はクレジットカードと同じとなる。したがって、支払い時には「電子マネーのau WALLETカードで」と言っても伝わらないだろう。「クレジットカードで」と伝える必要があるので注意が必要だ。

“2014年12月末まで”は最強の電子マネー

電子マネーがお得なのはクレジットカードでチャージした時にポイントを貯め、電子マネーで支払った時にポイントを貯められるからだ。

例えば、電子マネーnanacoにリクルートカードプラスでチャージし、nanacoで支払ったとする。この場合、チャージするときに2%のリクルートポイントが貯まり、nanacoで支払うときに1%のnanacoポイントが貯まる。この組み合わせの場合、ポイント還元率は3%と非常に高い。

図1.リクルートカードプラスでnanacoにチャージした時のポイント還元率
図1.リクルートカードプラスでnanacoにチャージした時のポイント還元率

上記の事からリクルートカードプラスで直接購入や、現金でチャージしたnanacoで購入するよりもクレジットカードチャージした電子マネーで支払った方がお得ということがわかるだろう。しかし、nanacoを利用できる場所は約13万6200箇所とそれほど多くない。

では、au WALLETはどうだろうか? au WALLETも同様に、クレジットカードでチャージして、au WALLETカードで支払うとお得になる。ただし、2014年12月末まではauと三菱東京UFJ銀行が出資している「じぶん銀行」からのチャージが最強となる。2014年12月末まではじぶん銀行からau WALLETに5000円以上チャージすると5%の上乗せがあるからだ(1ヶ月で5%上乗せ対象チャージ回数は10回まで、チャージは1回2万5000円まで、1枚のau WALLETカードは10万円が上限)。例えば1万円チャージすると1万500円が電子マネーとして利用可能となる。さらに、au WALLETカードを利用すると0.5%のポイントを獲得できる。還元率は5.5%にもなる。

図2.じぶん銀行からau WALLETにチャージした時の還元率
図2.じぶん銀行からau WALLETにチャージした時の還元率

最初に書いた通り、au WALLETカードは「MasterCardのプリペイドカード」のため、一部例外はあるがMasterCard加盟店で利用できる。利用可能店舗数は約3810万店舗とnanacoの利用できる箇所の300倍だ。還元率でも、利用可能場所でも圧倒的と言うことがわかるだろう。

通常5%オフになるクレジットカードは、特定の店舗で利用した場合や、特定の日付・曜日に利用したときのみとなる。しかし、じぶん銀行からチャージしたau WALLETカードを利用すれば、毎日どこでも5%以上の還元を受けられるのだ。2014年12月までは、何も考えずにじぶん銀行からチャージしたau WALLETカードで払うのが一番お得だろう。

しかし、じぶん銀行の5%上乗せキャンペーンは、2014年12月末まで。では、2015年1月以降はどうすれば良いだろうか。

クレジットカードチャージでポイント獲得も検討

2015年1月以降は、じぶん銀行のキャンペーンがどうなるかは不透明だ。そのため、キャンペーンが継続されない場合の代替案を考えておこう。au WALLETも他のプリペイド型電子マネーと同様、クレジットカードでチャージすることが可能だ。チャージ方法は直接のクレジットカードチャージと「auかんたん決済」を利用した間接的なクレジットチャージの2つとなる。

まずは、直接のクレジットカードチャージを考えよう。au WALLETにチャージ可能なクレジットカードは、「MasterCardブランドのすべてのクレジットカード、クレディセゾン・UCカードのVisaブランドのカード」となる。

クレジットカードによる電子マネーチャージの一番難しいところは、チャージできるからポイントが貯まるわけではないということだ。チャージできても、チャージ分はポイント対象外となっているカードが多い。

au WALLETへのチャージ可能クレジットカードでポイントが付くクレジットカードを選ぶには、「MasterCardブランド」の全カードを調べる必要がある。しかし、全カードを調べる事は難しいため、三井住友カード、ライフカード、ポケットカード、クレディセゾンにポイント対象外のカードがあるかを確認した。ポケットカードを除くカードについてはすべてのカードでポイント付与の対象となっている事がわかった。現時点ではau WALLETへのチャージでポイント付与対象外にしているクレジットカードは少ないだろう。クレディセゾンの「SoftBankカード」や三井住友カードの「Amazon MasterCardクラシック」等はポイントが付き、かつ還元率が1.0%あるので検討に値する。

次に、「auかんたん決済」によるチャージだ。この「auかんたん決済」は理解するのが非常に難しい。筆者も仕組みを理解するのに時間がかかった。

まず、オンラインショッピング決済時に、「auかんたん決済」を選択すると、auのサイトにログインし、暗証番号を入力するだけで支払いが完了する。購入代金は毎月のauの通信料金に合算して請求されるため、auの通信料をクレジットカードで支払っている場合は、auかんたん決済利用分もクレジットカードで支払うことが可能となるのだ。

図3.楽天市場でauかんたん決済を利用した時のイメージ図
図3.楽天市場でauかんたん決済を利用した時のイメージ図

ただし、au WALLETにauかんたん決済でチャージするにはauの通信料金支払いに「MUFGカード(MasterCard/Visa)」「DCカード」「NICOSカード」「セゾンカード(MasterCard/Visa/JCB)」「UCカード(MasterCard/Visa)」を登録していなければならない。このauかんたん決済とau WALLET、指定クレジットカードの関係が理解しにくいため図解する。

図4.auかんたん決済でau WALLETにチャージするときのイメージ図
図4.auかんたん決済でau WALLETにチャージするときのイメージ図

auかんたん決済でau WALLETにチャージする場合、auの通信料の支払いカードをシステムが自動的に確認する。そのカードが上記対象カード以外の場合、au WALLETにauかんたん決済でチャージする事ができない仕組みなのだ。対象カード以外でau通信料を支払っている場合は、auの通信料の引き落としを上記対象カードに変更するか、直接のクレジットカードチャージを利用しなければならない。

ただし、クレジットカードからau WALLETにチャージする方法はそれほどメリットがないと言える。例えば、還元率が1%のクレジットカードからau WALLETにチャージし、au WALLETカードで支払うと、還元率は1.5%となる。楽天Edy等の非接触式の電子マネーの場合は、同じ1.5%の還元率でも、さらに支払いスピードと言うメリットが有る。しかし、クレジットカードと同じタイプのau WALLETカードの場合、1.5%以上の高還元率クレジットカードで決済するのと変わらないのだ。ポイントが分散しない分、高還元率のクレジットカード1枚に絞った方が良いだろう。

しかし、2014年12月末まではどう考えてもauユーザーが使わない手は無い。じぶん銀行は最短5営業日で開設、au WALLETカードは1週間程度で届くため、auユーザーでまだau WALLETを申し込んでいない、じぶん銀行をまだ開設していない方は今直ぐ申し込み、6ヶ月間使い倒すのがおすすめだ。

菊地 崇仁(きくち たかひと)

1998年に法政大学工学部を卒業後、同年日本電信電話株式会社(現NTT東日本)に入社。社内システムの開発、Lモードの料金システム開発、フレッツ網の機器検証等に携わり2002年に退社。同年、友人と共に起業し、システムの設計・開発・運用を行う。2006年、ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年3月代表取締役に就任。ポイント探検倶楽部に掲載されているポイントは約230種類。ポイントやマイルを中立の立場で語れる数少ない専門家として知られる。

三児の父であり家計のやりくりをすべて担当。ポイントのみならず、クレジットカードや保険なども守備範囲で、近年は投資にも挑戦している。著書は「新かんたんポイント&カード生活(自由国民社)」、「得するポイント(カード)の貯め方・使い方(日本監督協会)」。運営サイトは「ポイント探検倶楽部(ポイ探)」「株式会社ポイ探」「菊地崇仁オフィシャルホームページ」等。

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