韓国で非接触決済サービス「Visa payWave」普及に取り組む

2014年7月9日8:36

韓国で非接触決済サービス「Visa payWave」普及に取り組む
モバイル決済はUSIMからHCEの流れで普及の加速に期待

日本では民間最終消費支出に電子決済が占める割合は14%程度だが、韓国は6割以上のカード決済比率がある国として知られる。国際ブランドのVisa(Visa International Asia Pacific Korea Ltd.)では、同国においてカードやモバイルを活用した非接触決済「Visa payWave」の普及に取り組んでいる。また、インターネットの安全性確保にも力を入れている。

Visaカードの9割に「Visa payWave」を搭載

国際ブランドのVisaは韓国において、モバイルペイメントの初期の段階からイシュアやキャリアと連携してサービスを提供している。モバイル決済黎明期の2002年11月から、韓国の大手キャリアであるSKテレコムと組んで、非接触決済サービス「MONETA」を提供。赤外線通信やICチップを利用してモバイル決済が可能なサービスを行った。「MONETA」はビジネスとしては普及しなかったが、モバイルペイメントを世界的にも早い段階で実現したサービスとして、次世代の決済につながった。

Visa payWaveの利用イメージ(Visa International Asia Pacific Korea Ltd.のWebサイトより)

Visa payWaveの利用イメージ(Visa International Asia Pacific Korea Ltd.のWebサイトより)

現在、Visaが世界的に推進する非接触決済サービスの「Visa payWave」については、韓国でもマレーシアと同様に早い段階から支援している。「Visa payWave」がスタートした当初は、国際的にインフラが構築できていなかったが、最近になりオーストラリアやカナダ、シンガポール等で普及が進むなど、成果を生んでいる。

プラスチックカードへの「Visa payWave」搭載は、2005年からスタートしており、現状、韓国のVisaカードの9割で利用可能だ。クレジットカードにプラスαの機能として搭載している。

モバイルでの「Visa payWave」利用については、端末の製造会社との連携が必要となるため、開始当初は推進に苦労したが、現状はApple等の一部の機種を除きNFCへの対応が進んでいる。Visaは、携帯電話のマーケットでトップシェアのSamSung(サムソン)とアライアンスを組み、「Visa payWave」が利用しやすい環境を整備している。Visa International Asia Pacific Korea Ltd. エマージングプロダクト&イノベーション シニアディレクター スコット・シン(Scott Shin)氏は、「SamSungとのパートナーシップによって、SamSungのスマートフォンの中には、Visa payWaveが初めからインストールされるようになりました。Visaでは今後、モバイルペイメントの市場を広げていこうと考えています」と笑顔を見せる。

HCEによりモバイルの「Visa payWave」利用拡大に期待
スターバックスやGS25、ホームプラスで利用可能

課題としては、韓国では情報処理業者となる「VAN(Value Added Network)」により、クレジットカード決済においても、電子マネーの特長となるスピードや利便性をカバーできている点だ。そのため、クレジットカードへの搭載の場合、利用を促進するのが難しいため、現状はモバイルでの展開を強化しているという。

Visa International Asia Pacific Korea Ltd. エマージングプロダクト&イノベーション シニアディレクター スコット・シン(Scott Shin)氏

Visa International Asia Pacific Korea Ltd. エマージングプロダクト&イノベーション シニアディレクター スコット・シン(Scott Shin)氏

普及の兆しもある。これまで韓国においても非接触決済の普及を疑問視する声はあったそうだが、2014年上期に発覚した複数のクレジットカード会社からの大規模な情報漏えいを機に、国策としてICカード化が求められた。ICカードは、PIN(暗証番号)の入力が求められる場合もあり、従来の磁気カードよりも処理スピードが遅くなる可能性があるため、かざすだけで取引が可能な「Visa payWave」などの非接触決済のニーズが高まると考えられる。

今後の普及に向けては、NFCの新技術であるHCE(Host card emulation)に期待している。スコット・シン氏は、「これまで、キャリアと金融機関との利害関係から、モバイルを活用したサービスについては積極的に行いにくかったですが、HCEを利用することにより、カード会社がUSIMを使わずにサービスを提供できるようになります」と期待を寄せる。また、モバイルを利用して、ポイントやクーポンなどのインセンティブを提供することも可能だ。

「Visa payWave」が利用できるリーダライタも徐々に広がりを見せている。スコット・シン氏は、「Visaとして最初に戦略的に投資した加盟店はコーヒーチェーンのスターバックスとなります。また、大手コンビニエンスストアのGS25、大型スーパーのホームプラスでも利用可能です」と説明する。端末は、GS25はSmartro製、ホームプラスはKICC製となっており、韓国で利用できる「Visa payWave」「cashbee」「T-Money」など、複数の非接触決済が1台で利用できる。

利用の拡大に向けては、韓国はカード決済比率が非常に高いため、日本のようにこれまで現金を使っている人が、電子マネーやモバイル決済に切り替わることは考えづらいそうだ。同氏は、「カード決済の比率を増やすというよりは、現在、クレジットカードを利用している人が『Visa payWave』を便利に利用していただきたいと考えています」と意気込みを見せる。

「V.me」提供は韓国の法規制が課題に
インターネット決済はトークン方式での強化を検討

なお、Visaが米国を中心に展開しているデジタル決済サービス「V.me(ブイドットミー)」については、韓国で展開する上でのハードルが横たわる。韓国の法規制では個人情報を韓国内のサーバに置く必要があるため、Visaが利用している海外のサーバは利用できない。提供にはそれなりの投資が必要となるが、利便性を提供できるサービスとして、検討していきたいとしている。

なお、インターネットの決済については、本人認証サービス「Verified by Visa」を「セキュアクリック」と呼び利用されている。加えて、30万ウォン以上の決済の場合、「公認認証書」が必要となっていたが、2014年5月20からは、オンラインショッピングにおける公認認証書の義務化は廃止された。そのため、今後はEMV Co.の基準に則ったトークン方式も活用しインターネット決済のセキュリティを更に強化したいと考えているそうだ。

スコット・シン氏は最後に、「NFCを利用したモバイル決済は、USIMからHCEの流れで普及が進むと考えています。また、インターネット決済は、公認認証書が義務ではなくなることを踏まえて、EMVに準拠したトークン方式に方向性を合わせていきたい」と意気込みを語った。

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