アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.のCRM施策を公開

2010年8月10日  08:00

CRM施策の現況~アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.

国内のカード稼働率は世界トップクラス
最近では小額決済の利用を促進

改正貸金業法や割賦販売法などの法規制により、カード会社を取り巻く環境は厳しくなっている。こうした中、各カード会社ではカード発行枚数ではなく、会員一人当たりの稼働率や累積利用金額を重視する“質”への転換を図っている。アメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.の場合はすべてのカードに年会費を設けていることに加え、高品質なサービスを提供していることもあり、会員のロイヤルティが高く、稼働率も高いのが特徴。中でも日本の会員の稼働率は全世界的にも高いという。通常、クレジットカードなどでは会員ごとに利用上限額が設けられ、月々の明細書にその金額が印字されているが、同社のカードの場合、一律の利用可能枠ではなく、個人個人の利用状況などに基づき、利用できる金額を随時設定・変更している。高額な買い物をする際、与信が通るかどうか心配な会員に対しては、同社に事前に連絡して確認してもらうよう勧めているため、会員は安心してカード決済を行うことができる。

また同社のカードは、高額な買い物での利用はもちろん、日常生活のさまざまなシーンにおける小額の支払いにも使うことができる。例えば、公共料金やスーパー、コンビニなどでの買い物においてもアメリカン・エキスプレスのポイントが100円=1ポイントで付与されるのだ。同社では会員に1枚のカードでポイントを効率的に貯められることを訴求しているが、これは同社の収益にもプラスに働くと言えるだろう。

顧客の特性に応じた
コミュニケーションを推進

CRMにおいては、入会経路、家族構成、利用動向、同社とのコミュニケーション・チャネルなどを分析し、それぞれの会員に合ったサービスを展開している。例えば、Webでの入会者にコールセンターから何度もアウトバウンドをするのは好ましくない。また、ナンバーディスプレイが普及した近年では、身内や知り合いからの電話以外は受けない会員も多いため、従来からのアウトバウンドコールに加えて、Webを駆使した情報提供を強化している。

例えば、東京に居住している人に大阪のスーパーのキャンペーン情報を送っても、そこで買い物をすることは基本的にはない。そのため、カード会員の居住地域に合わせてカスタマイズした店舗の情報をeメールやWebで閲覧できるようになっている。また、ショッピングで貯めたポイントの交換手続きは、電話とWebの双方で行っているが、後者の場合は交換レートが上がるサービスを展開。さらに利用明細書も従来の紙ベースからWebにシフトしている。

以上のように、Webにシフトしている同社ではあるが、インタラクティブなコミュニケーションの場としてコールセンターの役割は重要であると認識。最近ではIVRの普及により、セルフサービスのコールセンターも増えているが、同社のセンターでは会員のチョイスでオペレーター、IVRのいずれかを選別できるようになっている。

稼働率をアップするための多彩なプログラム
目標は年間利用金額200万円

このほか2009年には、アメリカン・エキスプレス・カード会員およびアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード会員稼働率をアップするためのプログラムとして、を対象に「クラブプレミアムプラス」を導入した。

「クラブプレミアムプラス」と、女性会員限定の「クラブ エッセンシア」のWebページ。空港ラウンジの利用など、クラブメンバー限定の特典を提供

これはプログラム年度(毎年7月1日から翌年6月末まで)のカード利用代金が200万円を超える既存会員、カード入会月から3カ月間で利用金額が30万円を超える新規会員を対象に、プライオリティパス社提携の世界600カ所以上の空港ラウンジの利用など、クラブメンバー限定の特別な特典やサービスを提供するもの。

既存会員について200万円という金額ラインを設定したのは、これが日常の買い物を含め、一般生活者がカード決済する金額の目安と考えたからだ。

また、ほかの多くのカード会社と同様に、同社においてもポイントプログラム「メンバーシップ・リワード®」を提供している。これはカードの利用代金100円=1ポイントで貯めたポイントをさまざまな優待サービスやアイテムと交換することができる仕組み。

例えば、会員のみが体験できる夢のひとときを楽しめる「メンバーシップ・リワード・エクスペリエンス」。1,000万ポイントを貯めれば、ハナオカ・ダンスギャラリー主宰花岡浩司氏による個人指導を受けた後、オーストリア大統領主催の国立オペラ座舞踏会・オーパンバル、または希望の舞踏会に参加することができる。

このほか「世界にひとつだけの日本酒を造ることができる」(900万ポイント)、「わたせせいぞう氏が描いた絵をオリジナル版画に制作できる」(500万ポイント)、「エイベックスの協力によりプライベート・コンサートができる」(1,000万ポイント)など、同社ならではの数々の特別な体験を用意している。さらに11社の航空会社のマイルや提携ホテル・グループのポイントプログラムへの移行も可能だ。

女性会員限定のサービスとしては、専用のコミュニティ「クラブエッセンシア」がある。これはメンバー登録するだけで、グルメ、エンターテインメント、ビューティ&ヘルスケア、ファッションなどの優待サービスが受けられるというもの。2009年には「お花見クルーズ」「日本料理のお作法セミナー」「市川亀治郎に学ぶ歌舞伎の楽しみ方」などのイベントも開催された。

※本記事はアイ・エム・プレス社発行の「CRM年鑑2010」に掲載された内容の一部をご紹介したものです。

「CRM年鑑2010―CRM&ダイレクトマーケティング成功事例集」の紹介ページ

アイ・エム・プレスの「CRM年鑑2010」では、CRM推進企業30社の(1)企業の概要、(2)CRMへの取り組みの背景、(3)顧客情報の収集・管理方法、(4)CRM施策の現況、(5)CRM施策の効果、(6)課題と展望がまとめられています。本記事ではアメリカン・エキスプレス・インターナショナル,Inc.の(4)CRM施策の現況のみをご紹介しております。

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