NFCのTSM事業で100万枚以上のモバイルカードを発行するBC CARDの取り組みは?

2014年8月22日8:00

NFCのTSM事業で100万枚以上のモバイルカードを発行
ペイメントに加え、ポイントサービスの提供にも力を入れる

韓国のBC CARDは、NFCのTSM(Trusted Service Manager)事業を展開している。すでに100万枚以上のモバイルカードを手掛ける同社サービスについて、話を聞いた。

中国を除きNFCのモバイルカード発行で屈指の実績
TSMのサービスを自社で開発・運営

BC CARDは、通信会社と銀行、消費者を取り持つNFCのTSMサービスを、銀行14社、デパート等の百貨店にサービスを提供している。2013年10月に売上は1,000億ウォンを突破。また、「100万枚以上のモバイルカードが発行されており、この数字は中国を除いたら一番大きな数字となっています」と、BC CARD IT Development Dept モバイル・カード・デベロップメントチーム アソシエイト・マネージャー Park Dong Kyu氏は説明する。BC CARDではTSMのサービスを自社で開発して、運営している。

2014年3月にはBCモバイルカード23のオンライン、オフラインの加盟店で最大10%割引キャンペーンを行うなど、プロモーションも定期的に展開(出典:BC CARDのプレスリリース)

2014年3月にはBCモバイルカード23のオンライン、オフラインの加盟店で最大10%割引キャンペーンを行うなど、プロモーションも定期的に展開(出典:BC CARDのプレスリリース)

提供するTSMはモバイル・ネットワーク・オペレーター(MNO)に対してのMNO-TSMとなっており、KT等大手キャリアと連携している。基本的に韓国はサービスプロバイダのSP-TSMの提供はほとんどないそうだ。日本のモバイルフォンにはソニーのFeliCaチップが入っているが、韓国ではほとんどの場合、USIMを利用してモバイルサービスを提供している。一部、マイクロSDを利用してサービスを模索している企業はあるが、結果は出ていないそうだ。

通信会社では、「Smart Card Management System(SCMS)」を提供。また、クレジットカード社ではカードをパーソナライズする企業のことをTSMと呼んでいるそうだ。基本的に韓国のクレジットカード会社では、MNO-TSMと連携しなければモバイルカードを提供することができない。

BC CARDのモバイルカードは、自社ブランドで発行するケースは少なく、プロセッシングが中心となる。クレジットカード、デビットカードなどをカード会社や銀行の代わりに発行して、提供するビジネスとなり、日本でいうと、大手印刷会社と同様の役割を果たしているそうだ。発行のコストとしては、プラスチックカードよりもモバイルカードの方が安いという。例えば、プラスチックカードは発送のコストなどが必要となる。また、「韓国では、カードをモバイルにダウンロードする費用は他国と比べても安く提供できる環境があります」と説明する。

E‐MARTにモバイルを活用したポイントサービスを提供
SPCでもポイントカードの運用をスタート

エコシステムの構築については、順調に行われているという。BC CARD モバイル・カード・デベロップメントチームリーダー Jiho Yi氏は、「基本的にMNOは、新しいビジネスとしてUSIMを使って金融サービスを行いたいという考えを持っています。また、カード会社でもNFCを利用してサービスを提供したい考えがあります」と話す。ただ、USIMを提供しているMNOとカード会社との利害関係が課題となっている部分もあるそうだ。

左からBC CARD モバイル・カード・デベロップメントチームリーダー Jiho Yi氏、BC CARD IT Development Dept モバイル・カード・デベロップメントチーム アソシエイト・マネージャー Park Dong Kyu氏

左からBC CARD モバイル・カード・デベロップメントチームリーダー Jiho Yi氏、BC CARD IT Development Dept モバイル・カード・デベロップメントチーム アソシエイト・マネージャー Park Dong Kyu氏

HCE方式については、注目はしているが、USIMのようにチップの中にセキュリティキーを入れたり、暗号化を行うのは難しくなるケースもあるなど、課題もある。ただ、同社ではカード会社等に対し、モバイルカードを発行するのが仕事であるため、どの方式になっても対応可能であるという。

すでにBC CARDでは、国内のウォン決済、VisaやMasterCardの非接触決済をカード会社等に提供している。また、プリペイドカードやポイントカードの発行にも対応できるそうだ。Jiho Yi氏は、「弊社では韓国のディスカウントストア大手のイーマート(E‐MART)のポイントカードを作りました。これは、プラスチックカードとして使えますし、OTA(Over the Air)でNFCケータイの中に搭載することもできます。例えば、モバイルカードで支払いを行い、ポイントカード番号を利用して、ポイントを使うことも貯めることも可能です」と説明する。さらに、「Happy Point Card」を提供しているSPCでもポイントカードの運用をスタートしているそうだ。

また、利用者が店舗においてNFCスマートフォンなどで端末にタッチしてもらい、ポイントやメンバーシップサービスに誘導するサービスもパイロット的に行っている。

韓国ではバーコード式のモバイルカードの発行が増加
ICカード化が進むにつれモバイルペイメントのインフラが整う

なお、韓国ではUSIMを利用したNFCモバイルサービスに加え、バーコード方式のモバイルカードがある。これは、携帯やスマートフォンの中にあるアプリケーションを起動して、PINコードを入力すると、1度しか利用できないバーコードを生成して、決済などに利用するものだ。韓国では、バーコード式のモバイルカードを利用する企業が増えているため、そことの兼ね合いがNFCを展開する上での課題となっている。

ただ、NFCを利用できる決済端末などのインフラ整備は進んでおり、ICカードの国際標準と同様の規格を利用しているため、「ICカード化が進むにつれ、モバイルカード用のインフラが増えると思います」とJiho Yi氏は期待する。

BC CARDでは、以前は多くのモバイルカードを発行することに力を入れていたが、「今はお客様に喜んでいただくサービスを提供することを意識しています」とJiho Yi氏は笑顔を見せる。今後は、ペイメントに加え、ポイントなどのCRMサービスを強化していきたいとしている。

※本取材は2014年5月に行われました。

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