韓国の決済事情とプリペイドカードの普及状況は?

2014年9月2日8:00

デビットカードが普及し、プリペイドカードは非接触が中心
インハウスのプリペイドカードは助走段階

世界的にみても非現金決済比率の高い韓国だが、クレジットカードやチェックカード(デビットカード)での支払いが中心となっている。プリペイドカードについては、徐々に認識度が高まってきたが、まだまだ発展途上のようだ。バリューイノベーションなどの関連企業の取材を基に、韓国のプリペイドカード事情について紹介する。

クレジットカードの成長率は10年前の65%
政府の政策によりデビットカードの普及が進む

韓国銀行の資料によると、非現金決済は右肩上がりで伸びており、1日あたりの小切手を含めた数字は300兆ウォンの規模となっている。ただし、消費の伸び率からみると、クレジットカードの成長率はやや鈍化しており、デビットカード、プリペイドカードやモバイル決済にシフトしてきているという。

現状、クレジットカード決済の成長率は10年前に比べると65%程度となる。また、最近では政府の規制に加え、カード会社同士の競争も激化。日本同様に韓国でも、近年はカードの枚数を競うより、会員1人ひとりの稼働率を高める時代となっているそうだ。消費者も、以前はクレジットカード一枚で決済を行っていたが、最近はさまざまなカードを持ちながらスマートに使い分けている傾向がある。

クレジットカードの利用は徐々に落ちているが、チェックカード(デビットカード)は成長している。韓国政府の政策により、2013年には発行の割合が逆転。また、1件当たりの決済金額も減少傾向にあり、最近では500ウォンの決済もカードで行う人も出てきている。

カード会社は加盟店から徴収する手数料が低下
ICカード対応端末設置など投資も負担に

近年のカード会社の状況として、加盟店から徴収する手数料が下がり、キャッシング等のローンの金利が低下している影響を受けている。また、大規模情報漏えい事件を受け、ICカード対応の決済端末を設置する方向となり、投資が必要となっている。その影響は、情報処理業者となる「VAN(Value Added Network)」といったペイメントゲートウェイも連鎖的に受ける形となった。

カード会社にとっては、「Visa pay Wave」や「MasterCard PayPass」等の国際ブランドの非接触ソリューションを推進する場合、コストが負担となる。そのため、自社のモバイルカード発行を模索しているそうだ。モバイルカードはSIMやmicro SDを利用した方法があるが、キャリアとの利害関係があるため、カード会社としてはHCE(Hose Card Emulation)を利用したカードを増やしたいという考えを持つ企業が増えている。

韓国では国際ブランドのプリペイドカードは、約10年前にVisaが「Visaキャッシュ」の実験を行った実績がある。しかし、当時は前払いの認識がそれほどなく、利用には結びつかなかった。

リアルでのプリペイドカードは非接触が中心
2012年10月からプリペイドカードの陳列販売がスタート

リアルでのプリペイドカードの市場は、「T-Money」や「Cashbee(キャッシュビー)」を含めると99%が非接触電子マネーで「Visa payWave」「MasterCard PayPass」はそれほど利用されていない。また、ハウスプリペイドカードは、ベネフィットを求めている人には利用されているが、それほど普及していない状況だ。実際、インハウスのプリペイドカードで成功したのはスターバックスの「スターバックスカード」のみとなっている。

「ETUDE HOUSE(エチュードハウス)」イメージ画像(出典:バリューデザインのプレスリリース)

「ETUDE HOUSE(エチュードハウス)」イメージ画像(出典:バリューデザインのプレスリリース)

そんな中、プリペイドカードを提供するインフラも徐々に整ってきた。また、モバイルでアイテムなどを購入する際にプリペイド機能が利用されることも多くなったという。

コンビニエンスストア等でのプリペイドカードの陳列販売については、ブラックホークネットワークが2012年10月からハッピーマネー(Happy Money Inc.)と組んでサービスを開始。GS25、Mini Stop、HomePlus、HomePlus Expressでサービスを提供している。すでに発売券種は50種類を超えているそうだ。また、インコム コリア(InComm Korea)でもギャラクシアコミュニケーションと組んで2013年4月から、CU、Seven Eleven、Buy the Wayでサービスを提供している。

日本ではコンテンツカードを中心にコンビニエンスストア等で売り上げを伸ばしているが、韓国は無料でコンテンツをダウンロードする習慣があるため、コンテンツカードの販売に苦労している部分もあるそうだ。

■日本のバリューデザインと連携し韓国でプリペイドカードの普及を目指す

バリューイノベーションは、2011年12月に設立。2009年からバリューデザインへの端末機の供給を行っている。バリューデザインが韓国に拡販する際に、現地のエージェントとして協力。すでに、韓国のメイクアップブランド「エチュードハウス」(アモーレパシフィックジャパン)にサービスを導入している。

バリューイノベーション CEO Dai-Kwan Cha氏

バリューイノベーション CEO Dai-Kwan Cha氏

バリューイノベーションの事業としては、プリペイドカードの端末の提供が第一点。また、バリューデザインのプリペイドカードの営業を行っている。さらに、プラスチックカードを製造して日本に提供しているそうだ。それに加え、決済端末の開発を行っており、日本および韓国で利用可能となっている。すでに韓国国内で2社のVANとの契約を行っており、無線環境で利用可能となっている。

プリペイドカードには、スターバックスなどで販売されている「Closed Loop」のハウスプリペイドカード、「T-Money」や「Cashbee」といった「Semi-open Loop」のプリペイドカード、銀行系カード会社が発行する「Open Loop」の国際ブランドプリペイドカードがある。

バリューイノベーション CEO Dai-Kwan Cha氏は、「今後、コンビニエンスストア等でのモール事業がさらに活性化するためには、インハウスのプリペイドカードをさらに普及させ、活性化させていくことが重要となります。学生などが自ら購入して利用したり、レストランなどの紙の商品券をプレゼント用途に活用できると考えており、十分に発展する可能性はあると思います」と説明する。

韓国のプリペイドカードの現状としては、VAN事業者が付加サービスとして行っているケースが多い。そのため、インフラの改善が行われるかは疑問だが、プリペイドカードを積極的に展開していきたいとしている。また、プリペイドのインフラを持っていないVAN事業者もあるため、一緒に営業ができれば協力的な関係を構築できるとしている。さらに、プリペイドカードを使用することにより、加盟店の営業利益も上がるため、マーケティングへの活用を訴求していきたいということだ。

※本取材は2014年5月に行われました。

⇒⇒特集トップへ

page toppagetop