日本でも2020年に向け、非現金決済の加速に期待

2015年2月26日9:38

国内でも着実に進むキャッシュレス化 2020年の東京五輪に向け、非現金決済の加速に期待
~「カード決済&セキュリティのすべて」オープニング・アクト~

2020年に向けて、「現金からキャッシュレスへ」。日本はドイツなどと同様に現金での支払いが多い国と言われているが、年々、キャッシュレス化は着実に進んでいる。まずは、国内のカード決済サービスの動向について概観する。

国内は現金決済が中心
2015年はmPOSの「Chip&PIN対応」に期待

国内の民間最終消費支出に占める後払いの「クレジット」、前払いの「プリペイド」、即時払いの「デビット」が占める割合は20%程度となっている。国内はまだまだ、現金決済が主流である。 クレジットカード決済については、世界的な金融不況や改正割賦販売法の影響などもあり、2008年を境に、2009年、2010年と厳しい状況が続いたが、その後はカード会社が量よりも質を重視する展開が軌道に乗り、プラスに転じている。現状は極端な増加ではないが、成長は続いており2020年に向けさらなる普及を期待したところだ。

三井住友カードとジャックスは、Visa、道銀カードと協力し、北海道函館市の「Visa payWave」加盟店において「Enjoy 函館!Visa payWaveキャンペーン」を2014年7月1日~8月31日まで実施

三井住友カードとジャックスは、Visa、道銀カードと協力し、北海道函館市の「Visa payWave」加盟店において「Enjoy 函館!Visa payWaveキャンペーン」を2014年7月1日~8月31日まで実施

国際ブランドが展開する非接触決済の推進も期待される。また、2014年以降はVisa、MasterCardの国際ペイメントブランドがグローバルに展開する「Visa payWave」「MasterCard PayPass」(海外ではMasterCard Contactless)の発行が本格的に開始されると言われたが、幕張の商業施設「イクスピアリ」、北海道の「函館朝市ひろば」、大手家具チェーンなど、導入は一部に限られる。

さらに、これまでNFC機能を搭載してこなかったAppleも「Apple Pay」を発表。当初は米国に限定したサービスであるが、将来的な国内でも展開に期待したい。

2011年以降、スマートフォンやタブレットにイヤフォンジャックやジャケット型のカードリーダーを装着して決済するソリューションが注目を集めている。国内でも「PayPal Here」、「Square」、「楽天スマートペイ」、「Coiney」といった企業がサービスを提供しており、これまでクレジットカード決済がそれほど浸透していなかった中小企業を中心に、サービスを提供している。また、フライトシステムコンサルティング、ロイヤルゲート、ベリトランスは多店舗展開している企業に対応したソリューションを展開。さらに、ゼウスはネットとリアルを横断したO2Oの一環としてスマートフォンサービスを勧めている。

Visaと楽天は、国内で初めてEMV ICカードに対応した「楽天スマートペイIC・磁気対応カードリーダー」を発表

Visaと楽天は、国内で初めてEMV ICカードに対応した「楽天スマートペイIC・磁気対応カードリーダー」を発表

現状、ほとんどのスマートフォン決済ソリューションは、EMV ICカードへの対応ができていない。そんな中、楽天は、2015年12月15日から、同社が運営するスマホ決済サービス「楽天スマートペイ」において、「楽天スマートペイIC・磁気対応カードリーダー」の販売を開始。

今後は他のスマートフォン決済サービス提供事業者も「Chip&PIN」に対応したサービスの提供が行われると期待したい。 また、EMV IC化といえば、Visaは米国において、米国内外の偽造カードが店頭のPOS端末で使用された取引についてのライアビリティシフトを、2015年10月1日から施行する予定だ。

米国では、IC化に向けたロードマップが作られ、着実にICカード化が進んでいくとみられている。一方、日本では、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、東武百貨店、丸井といった企業に限られるが、2020年の東京五輪に向け、さらに多くの外国人が来日されることが予想される中、他の大手POS加盟店でも徐々に対応が行われると思われる。

経済産業省では、「クレジットカード決済の健全な発展に向けた研究会」を設立し、海外から来日する人に対してのカード決済を安全・快適にできる体制づくりとして、100%のIC化を目指すという考えを打ち出した。すでに日本クレジット協会でも具体的な検討を進めているため、2015年からは本格的なクレジットカードのEMV IC化への検討が進められるだろう。

デビットカードは銀行にマッチした商品
Visaに加え、2014年からはJCBデビットもスタート

デビットカードは、加盟店での決済時に金融機関の預金口座を照会し、即時に引き落とされるサービスである。銀行にマッチした商品と期待されており、米国ではクレジットカードを上回るペースで普及を見せている。国内では、日本デビットカード推進協議会が運営する「J-Debit」のほかに、VisaやMasterCard、JCBなど、ペイメントカードの国際ブランドが提供する「ブランドデビット」、中国人観光客向けに百貨店や家電量販店、観光地などで導入が進む「銀聯(ぎんれん)」がある。

ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2014年12月25日から、「Visaデビットカード」の新TV CM「買い物アーカイブ」篇(30秒)を全国でオンエア。CMキャラクターには、女優の上戸彩さんを起用

ビザ・ワールドワイド・ジャパンは、2014年12月25日から、「Visaデビットカード」の新TV CM「買い物アーカイブ」篇(30秒)を全国でオンエア。CMキャラクターには、女優の上戸彩さんを起用

国内でも認知度が徐々に高まっている「ブランドデビット」は、端末、与信システムなど、ペイメントカードの国際ブランドカードが運営するインフラをそのまま利用可能だ。また、クレジットは設定された与信枠で利用するが、デビットは預金口座と直結した決済を行うため、昨今の世界規模での信用収縮や日本における業法の厳格化の動きによりニーズの高まりが予測されている。

国内では、スルガ銀行、三菱東京UFJ銀行、あおぞら銀行、ジャパンネット銀行、イオン銀行、楽天銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行がVisaデビットを、千葉銀行、大垣共立銀行がJCBデビットを発行している。

2015年9月頃には、ジャパンネット銀行のデビットカードとファミリーマートの「ファミマTカード」との一体型カードの発行を予定しており、消費者が身近に訪れるコンビニエンスストアでの訴求も期待できる。

ブランドデビットの発行により銀行にとっては、手数料収益などが期待できるが、システム改修などの面から発行を新規に開始する銀行はそれほど多くはない。ただ、時代にマッチした商品として展開する銀行は間違いなく増えると思われる。 また、Visaが女優の上戸彩さんを起用したテレビCMを積極的に打ち出しており、消費者への認知度もアップしている。Visaでは、「ビジネスデビットカードの潜在ニーズは極めて高く、現在の個人向けクレジットカードの34兆円に匹敵する市場ニーズが期待できる」と発表しているように法人需要の伸びも期待できるだろう。

毎年、普及が拡大する非接触電子マネー
オンラインプリペイドカードも右肩上がりで成長

プリペイドカードでは、イオンの「WAON」、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」、楽天Edyの「楽天Edy」、「Suica」などの交通系電子マネーが年々、取扱高を拡大させている。電子マネーのブームは去ったが、まだまだ成長途上であり、今後数年は成長カーブを描くことは間違いない。特に、ファーストフード、ドラッグストア、地域のスーパーなどでの利用拡大が期待される。また、インターネット決済においての電子マネーの利用は苦戦してる状況だが、インターネット分野に強い楽天Edyがこれまでの欠点を克服するサービスを打ち出す可能性もある。

KDDIはMasterCardブランドの付いた「au WALLET(ウォレット)」を発表。テレビCMなども積極的に展開

KDDIはMasterCardブランドの付いた「au WALLET(ウォレット)」を発表。テレビCMなども積極的に展開

一方、プラスチックのギフト・プリペイドカードは、オンライン上のサーバでバリューを管理し、ネットワーク経由でサーバにアクセスし、金額をチャージ(入金)する仕組みとなっている。現状、プリペイドカードの利用はリチャージ型のカードが中心だが、POSAで「百貨店ギフトカード」の販売が開始されたように、国内でも贈呈用として力を入れる企業が増えてきた。 さらには、VisaやMasterCardなどの国際ブランドが搭載されたプリペイドカードの普及が期待できるだろう。

例えば、ライフカードでは、日本初となるネットショッピング専用のVisaプリペイド「Vプリカ(V-PreC@)」を発行。三菱UFJニコスは「e-さいふ(Visaバーチャルプリカ)」、楽天カードは「楽天バーチャルプリペイドカード」など、インターネットを中心にプリペイドカードを発行している。 2013年からは、インターネットに加え、リアルでの発行もスタート。

クレディセゾンでは、ドラッグストアを運営するココカラファインにおいて、日本初の国内外Visa加盟店で利用可能なVisaプリペイドカード「ココカラクラブカード」を発行した。そして、KDDIは、世界のMasterCard加盟店、国内約2,000社のWebMoney加盟店の双方で利用でき、ポイントも貯まるプリペイドカード「au WALLET(ウォレット)」を2014年5月21日からスタートしている。これにより、国際ブランドプリペイドカードへの注目が俄然高まった。

「ソフトバンクカード」は若年層を中心に会員を獲得予定

「ソフトバンクカード」は若年層を中心に会員を獲得予定

また、2015年に入り、ソフトバンク・ペイメント・サービス(SBPS)、ソフトバンクモバイル、ワイジェイカード〈YJカード〉と、Tポイント・ジャパン(TPJ)は協業により、Visa加盟店で利用でき、「Tポイント」が3倍貯まる新しいプリペイド(前払い式)カード「ソフトバンクカード」を、ソフトバンク携帯電話利用者に2015年3月6日から提供開始すると発表した。海外ではプリペイドカードのさまざまな活用が行われているが、大阪市は、生活保護費の支給方法について、2014年12月全国で初めてプリペイドカードによる生活保護費の支給をモデル的に実施すると発表した。

EC決済でも数多くの手段が用いられる
O2Oにおける「決済」の重要性が高まる

インターネットの世界でのEC決済は毎年10%程度の成長が続いているといわれる。PCのWebサイトやケータイサイトから商品やサービスを購入・利用するユーザーは増え、クレジットカード、デビットカード、IC電子マネー、ネットワーク電子マネー、コンビニ決済、インターネットバンキング、Pay-easy、携帯キャリア決済、ISP課金、PayPal、ID決済など、数多くの決済方式が用いられるようになった。 インターネットのクレジットカード決済については、海外からの不正アクセス増加により、カード会員情報が流出する事件も相次いでいる。この辺りは、利便性を維持したままセキュリティを強化する必要があるだろう。

日本PayPalとPayPal Pte. Ltdは、家電量販店大手のヤマダ電機が運営する「ヤマダ電機 LABI 渋谷」の3F パソコン、パソコンサプライフロアにおいて、2014年4月3日~4月30日まで、「ペイパル チェックイン支払い」のテストマーケティングを実施。利用者は、財布もカードも出すことなく、スマートフォン一台で“顔パス”のような感覚で買い物を楽しんだ

日本PayPalとPayPal Pte. Ltdは、家電量販店大手のヤマダ電機が運営する「ヤマダ電機 LABI 渋谷」の3F パソコン、パソコンサプライフロアにおいて、2014年4月3日~4月30日まで、「ペイパル チェックイン支払い」のテストマーケティングを実施。利用者は、財布もカードも出すことなく、スマートフォン一台で“顔パス”のような感覚で買い物を楽しんだ

また、インターネットを中心としたサービスが普及するにつれ、インターネット上のサービスとリアルを結ぶ「O2O(オンライン・トゥ・オフライン)」「オムニチャネル」がクローズアップされている。そんな中、カード会社をはじめ、決済サービスと連動した取り組みを強化する企業も増えている。

例えば、GMOペイメントゲートウェイの「GMO Pallet」、PayPalの「ペイパル チェックイン支払い」、Showcase Gigの「O:der(オーダー)」、POWAの「PowaTag(パワタグ)」は、リアルの世界でも非対面取引が可能なサービスとなっている。まだまだユーザビリティや加盟店の運用、消費者への認知など課題はあるが、2020年に向け決済の世界でもデジタル化が進んでいくと思われる。

無料で配布する冊子「カード決済&セキュリティのすべて」では、国内のカード決済やセキュリティの動向を、事例を中心に紹介している。カード加盟店、カード会社、決済関連企業の方は、ぜひ配布スポットにお立ち寄りいただき、国内におけるキャッシュレス化の推進、セキュリティの向上に少しでも役立てていただければ幸いである。

※本記事は冊子「カード決済&セキュリティのすべて」の掲載内容とは異なります。

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