シンガポールをハブに、東南アジア5カ国でサービスを展開へ(三井住友カード)

2015年6月8日8:10

シンガポールをハブに、東南アジア5カ国でサービスを展開へ

三井住友カードは、東南アジアの中心に位置するシンガポールに「東南アジア市場調査室」を設置し、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンでの展開についてリサーチを進めている。同社の東南アジアにおける決済サービス展開の考えについて、話を聞いた。

日本市場の将来の縮小トレンドを補う
三井住友フィナンシャルグループの戦略との平仄

三井住友カードは、東南アジア各国での決済ビジネスへの参入を展望した情報収集等を行うため2014年6月に「東南アジア市場調査室」を設置した。その背景は、日本での顕著な少子高齢化だという。同社カード会員のボリュームゾーンは日本全体の傾向と同じく、消費が多くなる40~50代だが、10年過ぎれば定年退職などにより利用減が予想される。その次の世代は人口減の傾向にあり、長期的にはカード取扱高の頭打ちも懸念される。

三井住友カード 東南アジア市場調査室長 松井晃氏

三井住友カード 東南アジア市場調査室長 松井晃氏

同社は三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の一員だが、三井住友銀行ではアジアでの展開を強化する「アジア・セントリック」戦略をとっており、アジアの金融機関への出資などを行っている。三井住友カード 東南アジア市場調査室長 松井晃氏は、「SMFGが、銀行を中心にアジアで取り組んでいる方向性と当社事業の平仄をとっていかなければならないと考えました」と説明する。また、既に東南アジアに進出している国内のカード会社をキャッチアップしたいという思いもあったという。

すでに米国では、シリコンバレーに拠点を設けており、Square、Stripeといった、各分野の先駆者との提携を実現。米国発で、世界のスタンダードとなりうる企業と関係を築けるようになってきた。松井氏は、「その経験を東南アジアでも生かしていきたいと考え、市場調査室を設立させていただきました」と意気込みを見せる。

三井住友銀行の出資国はグループとしての取組を検討
現地の金融機関とのパートナー戦略も想定

具体的には、アジア経済の中心となるシンガポールにハブを置き、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピンの5カ国をスコープに入れている。三井住友銀行がインドネシアとベトナムで現地の銀行に出資しているため、両国ではグループとしての展開を想定。残りの3カ国については調査中だが、「各国の規制や市場性、お客様の状況などを見極めている状況です。また、現地でのビジネスを円滑に行うため、パートナー戦略を検討しています」と松井氏は話す。具体的には、地場の企業との深い接点を持つ決済事業者との提携を進めていきたいとしている。

「たとえば、現地で展開する日本の小売と連携し、クレジットカードを持てない層に対してプリペイドカードを発行することも考えています。その際に、自社で発行するか、現地の決済事業者と組んでビジネスを展開するか、比較検討していきたいです」(松井氏)

また、観光面ではインバウンド、アウトバンドの強化に取り組む国も多いため、海外から東南アジア各国に訪れる人や逆に東南アジアから海外へ旅行する人にトラベルカードを発行するアイデアも検討している。すでに、日本から韓国への渡航者を対象にしたプリペイドカード「三井住友カード韓国トラベルプリペイド」を発行した経験もあるため、サービス開始の際は効率よく展開できるとしている。

そのほか、ベンチャー企業でも競争力があれば、業務提携、出資などを含め、複数のパターンで協力することがあり得るという。また、5カ国以外にミヤンマーなど周辺国についても調査を進めている。

2020年を境にビジネスの主戦場は東南アジアに移行?
今年度中のビジネスの立ち上げを目指す

三井住友カード 東南アジア市場調査室 島田公輔氏

三井住友カード 東南アジア市場調査室 島田公輔氏

東南アジアでの展開は腰を上げたところだが、2020年を境にビジネスの主戦場は東南アジアに移行すると考えており、早い段階で準備を整えていきたいとしている。三井住友カード 東南アジア市場調査室 島田公輔氏は、「東南アジアをめぐる外的要因として、アセアン経済共同体(AEC)、2020年の金融の自由化などポテンシャルは高いと考えています」と語気を強める。

当面の目標は今年度中に事業を立ち上げることとなる。東南アジアでの展開では、最終的に目指すところはイシュイング(カード発行)だが、アクワイアリング(加盟店開拓)、プロセッシング(決済処理)を含めて検討していく。また、東南アジアでは店舗に複数の決済端末が設置されるケースも見受けられるため、複数の支払い処理を束ねたり、日本のシンクライアント型決済端末のように、付加価値を提供できる決済サービスの提供も視野に入れる。

まずは、タイでの立ち上げが先行する可能性が高いという。松井氏は、「弊社の東南アジアでの売り上げに対する割合は、2020年までは数パーセントかもしれませんが、長期的には数十パーセントの割合を占めるポテンシャルが充分にあると考えています。」と語り、笑顔を見せた。

※取材はシンガポールの三井住友カード 東南アジア市場調査室の事務所にて

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