Visaの決済のデジタル化と国際的な取り組み(下)

2015年7月7日8:00

■ビザ・ワールドワイド・ジャパン
決済のデジタル化と国際的な取り組み

EMV準拠のペイメントトークンを提供
決済のデジタル化ではトークナイゼーションが有効に

次に決済のデジタル化については、クロスチャネル、オムニチャネルの進行により、対面決済に加え、非対面での充実も図られています。国内でクレジットカードが使われる割合を見ても、対面環境よりも非対面の比率の方がはるかに高いです。経済産業省からは、東京五輪に向けてキャッシュレスの環境を整えるというメッセージが出ています。

近年は、スマートフォンやタブレットを使っている消費者が莫大に増えており、決済業界への新興プレイヤーの進出も目立ちます。これからもさまざまな企業が決済に関わる事業を展開されると思いますが、デジタルを用いた決済の重要性がさらに高まります。カードデータを電子化して、スマートフォンやウェアラブルを使ったサービスをオムニチャネルで提供する。対面決済と非対面決済の垣根がなくなりつつあり、今後は消費者が必要な時に必要なサービスを提供するインフラが求められるでしょう。

たとえば、Peer to Peerの送金としては、「Visa Direct」を海外で提供しています。特定のドメインに参加されている方への決済サービスではなく、Visaでは地球の裏側であろうと、どこでも提供可能です。また、銀行の場合、送金手数料が必要ですが、個人の方が気軽に送金できるサービスを提供しています。

決済のデジタル化におけるセキュリティとしては、トークン化が挙げられます。たとえば、ゲームセンターの場合、現金を当該店舗のみで使えるメダルに変えて遊ぶケースが多いですが、メダルをトークンと考えていただくとわかりやすいと思います。バーチャル環境では決済データを安全に運用する手段が別途必要となりますが、カード番号を別の乱数に置き換えます。Visa、MasterCard、American Expressの3ブランドでは共同で決済環境でのトークン技術のグローバル・スタンダードを策定しており、EMVをつかさどっているEMV Coでは、トークンに関する詳細や仕様を一般公開しています。すでに「Apple Pay」では、トークン化された仕組みを利用しています。

デジタル環境におけるペイメント・トークンの発行

デジタル環境におけるペイメント・トークンの発行

トークンの番号が仮に漏洩しても不正利用を回避
2020年に向け対面、非対面で一気通貫の決済を提供へ

Visaが提供する「Visaトークン・サービス」では、イシュアのカード番号(PAN)をトークンに変更する際、Visaでは4から始まる16ケタの番号の2桁目から16桁目が元々のカード番号から異なる乱数に置き換えます。

「Apple Pay」を例にとると、8~9億件のカード番号を所有していますが、カード番号をトークン化したものが仮に漏洩しても悪用されなければ、安全な運用が可能です。イシュアは、トークン・サービスを利用して、自身のカード番号をトークンに変更し、トークンの情報だけを補完します。また、加盟店ではトークン情報を持っていますが、番号に紐づくトークンは「1対N」の関係となり、加盟店ごとに数値は異なります。そのため、仮に情報流出してもほかの加盟店での利用は不可能で、また、EMVに準拠しているため、オンラインで盗んだデータを磁気ストライプに焼き込んで使うこともできません。すべてのトークンがドメインごとに発行されるため、情報流出の被害は最小限に抑えられるわけです。

エコシステム参加への利点

エコシステム参加への利点

すでに「Apple Pay」においては、トークンの契約が完了しているイシュアは約700あります。今後は、日本でもトークン・サービスを提供するケースが出てくると思います。

Visaでは、対面、非対面の垣根を分け隔てなく考えており、一気通貫の決済を提供することにより、どこでもストレスなく取引が行える環境を提供していく方針です。日本でも2020年の東京五輪に向けて、デジタル化の動きはスピードアップしていくと期待しています。

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※本記事は2015年3月12日に開催された「ペイメントカード・セキュリティフォーラム2015」のビザ・ワールドワイド・ジャパン 新技術推進部 シニアディレクター 鈴木章五氏の講演をベースに加筆を加え、紹介しています。

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