デジタル決済の先駆者PayPalが次に見据える世界とは?

2015年7月22日0:01

eBayから分社したデジタル決済の先駆者PayPalが次に見据える世界とは?
日本では中小企業、モバイル、訪日観光関連に力を入れる

オンライン決済サービスを提供するPayPal(ペイパル)は、eBayから分社し、米国時間の2015年7月20日に、2002年10月のeBayによるPayPalを吸収合併後、約13年以来のNASDAQに再上場した。7月22日には、PayPal東京支店カントリー・マネージャー、エレナ・ワイズ氏から、今後の日本市場におけるビジネス戦略が説明された。

分社化による日本市場への影響は小さい
取扱高は、収益、取引件数の成長は加速

米国・PayPalは、7月20日、eBayからの分社手続きが完了。PayPalのティッカーシンボル(銘柄コード)は、NASDAQに以前上場していた時と同様の「PYPL」を復活。米国では、ペイパルの経営陣や社員に加え、同社を利用するマーチャント(ビジネス)やコンシューマー(ユーザー)が集まり、NASDAQの取引開始のオープニング・ベルを鳴らしたという。 今回のeBayとの分社化の日本への影響についてワイズ氏は、「あまり日本市場に対する影響が大きいとは考えていません」と説明する。また、日本や他の市場でeBayの関連の会社であるという関係でPayPalとビジネスをしにくい企業があったというが、そういったことがなくなるメリットもあるそうだ。

PayPal東京支店カントリー・マネージャー、エレナ・ワイズ氏

PayPal東京支店カントリー・マネージャー、エレナ・ワイズ氏

PayPalは、1998年に設立。100通貨以上での決済、57通貨で銀行口座への入金、26通貨での支払いの受け取りが可能となり、17年以上にわたってネット決済市場をリードしてきた。PayPalは世界で初めてのデジタルワレットで、お金の価値のやり取りを本質的に変えます」とワイズ氏は自信をみせる。

PayPalのグローバルでのアクティブユーザーは、世界203の市場で1億6,900万人に達し、2014年度の取扱額は2,350億$(約28兆円)、収益は80億$(1兆円)、取引件数は40億件となっている。2015年の第2クオーター(四半期)の実績をみると、取扱高は+28%、収益は+19%、取引件数は+27%の成長率を示す。

2014年の取引の2割がモバイル決済
米国ではトップ100社のうち74%が採用

2014年の取引のうち、全体の2割がモバイル決済であり、今年の第一クオーターで3割になったそうだ。また、米国ではトップ100社のうち74%が採用。導入企業は世界で1,000万社を超えるが、取引の半数以上が米国外となっている。 ワイズ氏は、今後、データ分析とリスクマネジメントが重要になると述べる。

日本においても政府や企業などに対し、256億回のサイバー攻撃があり、消費者やビジネスにおいて最大の懸念になり続けると警鐘を鳴らす。その点、PayPalは、「安心・安全・信頼のブランドとして認知されています」とワイズ氏は話す。具体的には、決済時にカード情報が店舗にわたらない仕組みを採用。また、8,000人がカスタマーサポートに従事しており、24時間の不正監視を行っている。さらに、買い手と売り手を保護する「バイヤー&セラープロテクション」などのサービスも行っている。

ネクストステップとしては、「世界をリードするオープンデジタル決済プラットフォームになること」であるとワイズ氏は意気込みを見せる。たとえば、Braintreeが提供する「v.zero SDK」では、ビットコイン、Android Pay、Apple Payにも対応。PayPalのSDKは、ここ数年で大きくインターフェースを改善しており、日本への導入も間もなくスタートする予定だ。

日本では100万の登録、10万単位がビジネスで利用
日本は2015年の第一クオーターで51%がモバイル決済

日本では、100万人以上の登録ユーザー(マーチャント、利用者含む)がおり、10万単位の人がビジネスで利用している。国内市場では、中小企業、モバイル、訪日観光関連の3つに力を入れる方針となっている。

まず、PayPalはグローバルで、当時から世界中のさまざまな中小企業に導入してもらうことで成長してきたが、日本においても同様のスタンスとなる。加盟店は、簡単なスタートが可能で、手ごろな手数料でビジネスを行うことができる。また、最短3日で口座への振り込みが可能だ。

さらに、PayPal独自の不正検知サービスにより、不正利用も未然に防止されるという。PayPalでは、国や自治体とパートナーシップを組んで、EC化、モバイル化、越境EC化に取り組んでいきたいとしている。

モバイルについては、PayPalのグローバルで見ると2010年は全体の1%の決済比率だったが、2015年の第一クオーターでは30%となっている。日本においては、2015年の第一クオーターにおいて、51%がモバイル関連の取引だったように、グローバルの平均を上回る。日本でもテックスタートアップが台頭しており、PayPalでは4時間程度でモバイルのアプリに組み込めるSDKを用意。また、2015年6月13日と14日の2日間、PayPal主催のハッカソン「Battle Hack Tokyo」を日本で初開催したほか、数多くの開発者向けのイベントをサポートするなど、スタートアップコミュニティを支援していきたいとしている。

モバイル決済については、カフェネスカフェ、ヤマダ電機、ブルックスの対面店舗において、PayPalを利用したチェックイン支払いをテストしており、オムニチャネルの実現を目指している。

訪日観光客への取り組みにも力を入れる。たとえば、日本のカルチャーを紹介した「Tokyo Otaku Mode」は、以前PayPal以外の支払い手段で決済が行われていたが、導入後数カ月で全取引の半数を占めるようになったという。また、北海道のリゾート施設「ルスツリゾート」でもPayPalを採用している。

なお、国内でもスマートフォン決済サービス「PayPal Here」を提供していたが、2015年4月からは出荷を行っていないそうだ。また、今後の出荷やEMV対応についても未定となっている。 PayPalでは今後、日本においてもコンシューマー、ビジネス(マーチャント)、デベロッパーに対し、信頼できるデジタル決済を提供していきたいとしている。

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