中国からのインバウンドのモバイル決済はNFCよりもQR?

2016年1月25日8:00

QR決済は「WeChat Payment」「Alipay」「銀聯」の三つ巴に

日本では、FeliCa対応携帯電話(おサイフケータイ)によるモバイルペイメントが10年以上にわたり展開され、米国や英国ではAppleの「Apple Pay」などが話題となっているが、中国人観光客の訪日が見込まれる大型連休「春節」(旧正月、2月7日~13日)を控え、インバウンド対応ではまずはQRによるモバイル決済が注目を集めそうだ。中国版のLINEと言われる中国最大のSNSサービス「WeChat(微信)」が展開する「WeChat Payment(ウィチャットペイメント)」、螞蟻金融服務集団(Ant Financial)傘下の中国最大級のモバイル決済サービス「支付宝(Alipay)」が展開する「Alipay」の対面決済、銀聯が展開するモバイル決済など、2016年2月はスマートフォンに表示されたQRコードを活用した支払いが国内でアクセプタンスを拡大させることになるかもしれない。

QRコードを利用した対面決済サービスが中国で急速に拡大

国際ブランドの「NFC(Near Field Communication)」による非接触スキームは、Visaの「Visa payWave」、MasterCardの「MasterCard Contactless(旧MasterCard PayPass)」等が挙げられる。これらのサービスは、台湾・韓国・シンガポール・オーストラリアといったアジア太平洋地域をはじめ、世界中でアクセプタンスを拡大していると言われているが、日本では利用できる加盟店が限られる。そんな中、対面店舗で利用できるQRコードを利用したサービスが中国で急速に拡大している。

QRコードを利用した決済はアプリを起動する必要があるが、非接触決済端末などのインフラ投資の抑制、AndroidやiOSにかかわらず利用できる強みもある。また、利用者のスマートフォンに表示されるQRコードは1分間など、特定の時間のみ利用可能なワンタイムパスワードとなるため、セキュリティも担保されているという。

2015年9月30日の大丸松坂屋百貨店の利用開始など、春節に向け国内で100社以上が採用する見込みなのが「WeChat Payment」だ。WeChat(ウィチャット)は中国全土で6.5億以上のアクティブユーザーを有している。撮影した画像を投稿したり、友人と気軽にコミュニケーションを図ることができるなど、20~30代の若者を中心に利用されている中国最大のSNSとなる。まさに、中国版のLINEと言えよう。

店舗では、タブレット端末の決済アプリを立ち上げて金額を入力し、カメラ機能で利用者のQRコードを読み取ると決済が完了する。「WeChat Payment」利用のアカウント数は、導入から2年で約4億。アクセプタンスも現地では急速に広がっている。

大丸松坂屋百貨店では「WeChat Payment」を導入

大丸松坂屋百貨店では「WeChat Payment」を導入

「WeChat Payment」を導入した大丸松坂屋百貨店では、中国現地での生活に広く浸透しているシステムであることを知り、また、実際に現地では小口の買い物に広く普及しているという意見もあり、導入を決めたという。なお、中国では、店舗での決済以外にクーポンを活用した送客や個人間送金などでも活用されている。

また、WeChatユーザーが所定の場所でスマートフォンを振ると、Bluetoothを通じてビーコンから情報が取得できるWeChatの機能「シェイク」機能も提供。中国では販売促進につなげられる機能として用いられているが、すでに日本でもキャンペーンに活用されている。

春節を控えAlipayの対面決済を大手加盟店が採用

一方、Ant Financial Services Group傘下の決済サービスである「Alipay」は、オンライン決済プラットフォームとして実名認証のユーザー数を4億人以上抱えている。また、オンラインペイメントでは、中国の半数以上のシェアを占めていると言われる。さらに、モバイル決済市場の80%以上のマーケットシェアを持っており、一日の平均取扱件数は1.2億件を超えているそうだ。

Alipayによるオンライン決済では、PIN認証により表示されたAlipayのQRコードをレジにかざすことで決済が完了する。国内では、リクルートライフスタイルが運営する無料のPOSレジアプリ「Airレジ」などでサービスが利用可能だ。サービス開始から間もないが、パルコ、ビックカメラ、ローソン、近鉄百貨店、Umikaji Teracce、エアポートトレーディング、串カツ田中などで採用されている。

リクルートライフスタイルの「Airレジ」ではベリトランスと連携

リクルートライフスタイルの「Airレジ」ではベリトランスと連携


銀聯のモバイル決済が国内で展開へ

最後に、今後注目される動きとして銀聯に触れておきたい。銀聯では、ICカードやモバイルNFCによる非接触決済サービス「Quick Pass」を提供しており、Apple PayやSamsung Payに対応したクラウドベースのペイメントも提供する予定だ。また、中国銀聯ではQRコードを用いたモバイル決済の提供も発表しており、日本でもビリングシステムが北京新空気軟件技術有限公司と連携して、サービス提供を行う予定となっている。クレジットカードやデビットカードのブランドとして、中国で圧倒的な利用者を誇る銀聯がQR決済で「WeChat Payment」や「Alipay」にどこまで迫れるか、注目される。

 

この記事の著者

株式会社TIプランニング代表取締役 池谷 貴

株式会社TIプランニング代表取締役 池谷 貴

2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト運営などのサービスを手掛ける株式会社TIプランニングを設立。現在は、ポータルサイトとして「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD (ペイメントワールド)」を運営しています。
書籍の発行、執筆や講演など幅広く行っています。 ツイッター/フェイスブック

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