中国銀聯のコンタクトレスペイメント「Quick Pass」
金融ICカードのスタンダードPBOC2.0(2010年バージョン)に基づいて2012年2月にリリースされた中国銀聯のコンタクトレスペイメントソリューションのQuick Pass(図表13)を搭載したクレジットカードやデビットカードの銀聯カードは、2015年9月末で16億枚以上発行されており、銀聯カード全体の30%以上を占めている。また、Quick Pass対応のPOSカード決済端末機も570万台以上が設置済みで、中国におけるPOSカード決済端末機全体のおよそ半分以上を占めている。Quick Passのネットワークは、コンタクトレスICカードのみならずモバイルペイメントのNFC(Near Field Communication)でも用いられている。
中国銀聯の電子財布(電子マネー)「UPcash銀聯」
(図表14)は広東省広州市にある地方銀行である広州農村商業銀行の銀聯カード(デビットカード)で、中国銀聯のコンタクトレスペイメントであるQuick Pass機能が付いたデュアルインターフェースのICカードが用いられている。同カード裏面には、UPcash銀聯(銀聯電子マネー)(図表15)のロゴマークが付されている。現在中国で新規に発行されている金融ICカードの大半に、このUPcash銀聯機能が付いている。
UPcash銀聯とは、ドイツの「Geld Carte(ゲルトカルテ)」のようなIC電子マネー(電子財布)であり、電子財布内に通常最大1,000元(約2万円)までのバリューをロードすることが可能で、バリューの範囲で決済が行われる。この電子マネーによるコンタクトレスペイメントのQuick Passによる決済の場合、中国銀聯の6桁のPIN(暗証番号)の入力とサインは省くこともできる。
UPcash銀聯機能が付いている金融ICカードには、(図表16)のように、銀聯デビットカードの場合、口座振替用の口座(アカウント)と電子財布(電子マネー)のUPcash銀聯という2つの口座機能が備わっている。同じく銀聯クレジットカードの場合は、クレジットカード口座(アカウント)と電子財布(電子マネー)という2つの口座機能が備わっている。