静岡鉄道の「LuLuCa」が電子マネー機能追加、地域と密着したカードを目指す

2016年12月19日8:00

交通から買い物まで幅広い生活シーンを1枚のカードでカバー

静岡鉄道、しずてつジャストラインは、2016年11月から、静岡鉄道静岡清水線およびジャストラインバス一般路線で利用されている「LuLuCa(ルルカ)」の交通チャージ金を使い、静鉄ストア(食品スーパー)や新静岡セノバ(ショッピングセンター)で電子マネーとしての利用を開始した。ルルカでは、電子マネー機能の追加によって、より地域と密着したカードを目指す(取材は2016年9月末時点)。

静鉄ストアではルルカのレジでの提示率・ポイントの消化率で成果
顧客へのサービスやコストを考え自社マネーを選択

ルルカは、静鉄グループが2006年より発行しているポイントカード。交通乗車機能とクレジットカード機能付き(JCB)の「ルルカプラス」、クレジットカード機能付き(三井住友カード:Visa)の「ルルカパレッタ」、交通乗車機能が付いたポイントカード「ルルカパサール」、店舗で即時発行できる現金ポイントカード「ルルカポイント」の4種類となっており、約40万を発行している。

静岡鉄道 企画部 カード事業推進課 白井梓氏。「LuLuCa」の電子マネーの利用拡大に力を入れる

静岡鉄道 企画部 カード事業推進課 白井梓氏。「LuLuCa」の電子マネーの利用拡大に力を入れる

電子マネー機能が利用できるのは、ルルカパサール・ルルカプラスとなり、25万枚強を発行。今回の機能拡張により、電車・バス・食品スーパー・ショッピングセンターと多業種に渡って利用でき、幅広い生活シーンを1枚のカードでカバーできるようになった。

静岡鉄道では、約10年にわたりルルカを運営しているが、生活シーンで定着している実感があるそうだ。たとえば、スーパーマーケットの静鉄ストアにおいて、ルルカを提示した人のレジ通過率は88%となる。静岡鉄道企画部 マーケティング課長 岩本武範氏は、「店舗によっては9割の提示率を超えるところもあります」と成果を口にする。また、「貯めたポイントの消化率は92~93%あり、貯めたポイントを使用する循環ができています」と、同氏は話す。カードの提示率が高い要因として、店舗のレジスタッフがカードの提示を確認する習慣ができていることが大きい。

交通乗車の機能を電子マネーに拡張する点については、当初から構想にあったが、他の電子マネーに相乗りするよりもハウスマネーとして展開した方が、顧客へのサービスやコストパフォーマンスにおいてよりプラスに働くという結論に至った。コストについては、6~7年運用した際にメリットが大きく出るとみている。

静鉄ストアでは、ルルカを採用することにより、レジ通過のスピードアップに期待している。カードをかざすだけで会計が済み、ポイントも貯まるため、レジの会計スタッフの作業の効率化につながることは間違いない。

静鉄ストア利用者と電子マネーの親和性は高い
静鉄タクシーでの展開なども検討

「電車・バスでのルルカの経験からすると、スーパーマーケットを利用される女性の方は、わざわざ小銭を取り出さなくていいため、プリペイド型電子マネーに好意的な印象があることは経験値として持っています。現時点で明確な目標はありませんが、プリペイドでお支払いいただいた場合は、現金に比べて3~4割はレジスピードが高まると考えています」(静岡鉄道 企画部長 水上友太氏)

まずは、静鉄ストアと新静岡セノバから利用をスタートしたが、グループ内部では静鉄タクシーでの開始に期待する声が強い。静鉄タクシーの平均単価は1,800円となり、約2,000円の静鉄ストアと大きくは変わらない。今後は静岡エリアの他のタクシー会社との営業連携ができれば、リーダライタなどの投資負担も少なく済むため、導入がしやすくなるとみている。

次フェーズとして、静岡エリアの電子マネーとして、来年以降に地域店舗での普及を目指す計画だ。地域の店舗を開拓する際は、同社が人力で行うのは難しいため、ジェーシービーや日専連静岡といった地域店舗との関係が深い企業の協力を得ながら進めていきたいとしている。たとえばジェーシービーが加盟店を開拓する際、ルルカと「QUICPay」の双方が利用できる端末の設置を進めれば、両社にとってプラスに働くとみている。また、少額決済と親和性の高いコンビニエンスストアなどでの導入が進めば、さらに消費者の利便性は高まることは間違いない。リーダライタに関しては、将来的に他のマネーもスムーズに導入できるようにマルチリーダライタ(パナソニック製)を採用した。

静岡鉄道本部を中心に導入を進める
静鉄ストアではルルカを活用した販促を視野に

なお、今回の電子マネーの利用開始に向けては、静岡鉄道を中心に進めており、初期投資はすべて本部が負担している。電子マネー加盟店と既存の交通ICセンターの間を、中継センターで接続。電子マネー履歴管理等は大日本印刷の「DNPマルチペイメントサービス」を利用している。また、POSの対応では、東芝テックの協力を得た。

静鉄ストアではクレジットカード決済も可能だが、全体のクレジット決済比率は1%ずつ高まっているそうだ。「非現金決済の比率が高いと、消費増税の際に客離れを抑えることができます。カード会社からクレジットの利用は20%までは高まるという話をいただいています」(水上氏)。他社のクレジットカードを提示した場合、ルルカの現金カードの処理が必要となるが、ルルカのクレジット機能もしくは電子マネーを使ってもらえれば、1回の処理でポイント付与と支払いが行える。

今後は、給料日のタイミングで1万円チャージした方にポイントのインセンティブを与えるなど、静鉄ストアでもインセンティブ付与を真剣に考えているという。付与するポイントは経費となるが、それを来店に結びつけることで、早期に売上に跳ね返ると予想する。また、将来的には、現金ポイントカードを利用する場合と、ルルカ、ルルカのクレジット機能で決済した際のポイント付与率に差をつける可能性もある。

地域の電子マネーとしてさまざまな活用を検討
行政や地域の主要な金融機関、大手企業との連携を目指す

将来的には、地域の電子マネーとして、さまざまな活用を目指す。たとえば、大学の学食にルルカの決済端末を導入するといったことも想定される。また、行政や地域の主要な金融機関、大手企業との連携をより深めていく方針だ。

水上氏は最後に、「若い世代に静鉄ストアを身近に感じてもらい、電車やバスでの通勤、大学の学食で使っていただき、やがてセノバで買い物をして、結婚して子供ができる。その流れの中でルルカは重要な位置づけとなります。また、市と連携し、インバウンド対策や地域活性化の取り組みとして、ルルカ、他の電子マネー、クレジット、銀聯などを導入できれば、地域の方にとっても、外国人にとってもさらに便利になると考えます」と将来展望を語った。

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