日本のインバウンド決済の課題と問題点は?

2017年1月25日10:31

日本のインバウンド決済における課題と問題点について、観光庁やJCCA(日本クレジットカード協会)による訪日外国人に対するアンケート調査が行われている。観光庁が行った『訪日外国人が旅行中に困ったこと』に関するアンケート調査の結果では、(図表1)のように、5番目に「両替・クレジットカード利用」(16.1%)が挙げられている。両替には、自国の通貨の両替が日本でできないことが含まれている。以前のようにトラベラーズチェックは用いられておらず、この対策には、クレジットカードやVISAやマスターカードのオフラインデビットカードやプリペイドカードによるATMでの現金引出の環境の整備が求められる。

(図表1)訪日外国人が旅行中に困ったこと

無線公衆LAN環境

36.7%

コミュニケーション

24.0%

目的地までの公共交通の経路情報の入手

20.0%

公共交通の利用方法(乗り方)・利用料金

17.1%

両替・クレジットカード利用

16.1%

飲食店情報の入手

11.5%

公共交通の乗り場情報

10.2%

出典:観光庁

JCCA(日本クレジットカード協会)の『観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取組』(2014年12月)において、アンケート調査の結果、カードの利用環境について「不満」ないし「非常に不満」を選んだ人の不満には(図表2)のような要因が挙げられている。筆者の海外でのカード決済の経験でも、『店員に聞いても言葉が通じなかったことが原因でカードを利用できなかったから』や『カードをかざすだけで(スワイプせずに)決済できる環境(Pay Pass, pay Wave等)が少ないことが不満だった』に該当するケースはこれまでに多々あった。

JCCAでは多言語支援ツール「指差しシート」を作成

(図表2)カード利用環境における不満の要因

店舗の入口等にカードが利用可能かどうかの表示がなかったことが不満だった

42%

使えるかどうかがガイドブック・ホームページ・旅行代理店等ではわからないのが不満だった

40%

使いたい場面で使えないことが多いのが不満だった

37%

カードが使えないとわかったときに 、ATMなどの両替できる場所が見当たらなかったから

32%

店員に聞いても言葉が通じなかったことが原因でカードを利用できなかったから

29%

IC付カードに対応した決済環境が少ないことが不満だった

24%

カードは使える店であったが、見えない場所にカードを持って行って処理されること が不安だったから

20%

カードは使える店であったが、レシート(カード利用伝票)にカード番号がすべて表示されてしまうことが不満だったから

19%

カードは使える店であったが、利用額が小額であるために利用を断られたから

19%

カードは使える店であったが、自国通貨で決済できないことが不満だった

15%

カードをかざすだけで(スワイプせずに)決済できる環境(Pay Pass, pay Wave等)が少ないことが不満だった

8%

当てはまる選択肢はない

1%

出典:『観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取組』日本クレジットカード協会

『店舗の入口等にカードが利用可能かどうかの表示がなかったことが不満だった』(42%)『使いたい場面で使えないことが多いのが不満だった』(37%)や『カードが使えないとわかったときに 、ATMなどの両替できる場所が見当たらなかったから』(32%)、『IC付カードに対応した決済環境が少ないことが不満だった』(24%)は早急に改善を図らなければならない課題であろう。

日本クレジットカード協会が2016年1月に公表した『観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取組』によると、2015年にVisaが東京、京都、那覇の飲食店750店舗に対してアセプタンスマークを貼っているか否かの調査を行ったところ、750店中カードを受け入れているのは65%(487店)だったが、そのうちアセプタンスマークを貼っている店は27%(131店)に過ぎず、さらにそのうちアセプタンスマークを店頭に貼っている店は44%(57店)に限られていた。店頭にアセプタンスマークを貼っていた店は、カード決済を受け入れている店全体の、わずか12%に過ぎなかった。加盟店手数料が徴収されるカード決済にはあまり積極的ではないことを示していると思われる。

Visaでは京都オリジナルのアクセプタンスマークを作成。2016年12月21日には『京都ノトリセツPart3「京旅館の楽しみ方」』完成お披露目が行われた(出典:京都市)

また、『カードをかざすだけで(スワイプせずに)決済できる環境(Pay Pass, pay Wave等)が少ないことが不満だった』は8%と少ないが、EMV化を達成した国では現在、Visa pay Wave(Visa)やMastercard Contactless(マスターカード)、Express Pay(アメリカン・エキスプレス)、Quick Pass(中国銀聯)、J/Speedy(JCB)などのコンタクトレス化が急速に普及しつつあるので、自国でコンタクトレスペイメントになじんだ訪日外国人旅行者のこうした不満は今後、増えていくものと思われる。

※「世界の観光と決済・カードサービス完全ガイド」

 

関連記事

ペイメントニュース最新情報

決済シーンにdelight(ワクワク感)を!PCI P2PE 認定国内実績 No.1の「確かな信頼」を提供します(ルミーズ)

国内最大級のクレジットカード情報データベース(アイティーナビ)

電子マネー、クレジット、QR・バーコード、共通ポイントなど、多数のキャッシュレス決済サービスをワンストップで提供(トランザクション・メディア・ネットワークス)
決済領域を起点に多様なビジネスニーズに応える各種ソリューションを提供(インフキュリオン)
ReD ShieldやSift等の不正検知サービスを提供し、お客様の不正対策を支援(スクデット)
「お金の流れを、もっと円(まる)く」決済ゲートウェイ事業のパイオニアとして、強固なシステムでキャッシュレス決済を次のステップへと推進します。(ネットスターズ)
現金とキャッシュレスの売上をリアルタイムに確認可能なIoTプラットフォーム「IoT Cube」/Pay BOX(飛天ジャパン)

BtoCもBtoBも。クレジットカード決済を導入するならSBIグループのゼウスへ。豊富な実績と高セキュリティなシステムで貴社をサポートいたします。(ゼウス)
TOPPANの決済ソリューションをご紹介(TOPPANデジタル)
多様な業界のニーズに対応した、さまざまなキャッシュレス・決済関連サービスを提供する総合決済プロバイダー(DGフィナンシャルテクノロジー)
決済業務の完全自動化を実現する「Appian」とクレジット基幹プラットフォームを合わせてご紹介!(エクサ)

国内最大級の導入実績を誇る決済代行事業者(GMOペイメントゲートウェイ)

チャージバック保証、不正検知・認証システムなどクレジットカード不正対策ソリューションを提供(アクル)

非対面業界唯一!!カード会社とダイレクト接続により、安心・安全・スピーディーで質の高い決済インフラサービスを提供。Eコマースの健全な発展に貢献する決済代行事業者(ソニーペイメントサービス)

stera terminalでお店のポイントがつけられる「VALUE GATE」(トリニティ)

Spayd スマートフォン、タブレットがクレジット決済端末に!(ネットムーブ)

DNPキャッシュレス 決済プラットフォームをご紹介(大日本印刷)

PAGE TOP