マルチ電子マネー決済システムをゲームセンターの決済のスタンダードに(タイトー)

2017年4月5日8:18

利用客の利便性を第一に、全店、ほぼ全機種への導入を推進

業務用ゲーム機の誕生から40年余り、100円や500円硬貨による現金決済が長らく業界のスタンダードとなってきた。タイトーは2015年、複数電子マネー対応の決済システムを同社のゲームセンターに導入。利用客はコインレスで楽しめ、ポイントなどの付加価値も享受できる。店側も店舗運営やサービスを効率的に行える両得の仕組みだ。

交通系電子マネー決済を業界初の採用
楽天Edy機能付きのメンバーズカードも発行

消費増税を契機に運賃が電子マネー決済で割安となる公共交通機関が増えたことで、特に交通系マネーの普及率が一気に高まり、ゲームセンターでもニーズが増大。こうした中、タイトーでは、直営のタイトーステーション 新宿東口店で2013年11月から実証実験を開始し、約1年半の検証を行った。「終了時には使用率が当初より非常に高くなり、同時に店舗側の集金などの作業も効率化できると判ってきました」と、タイトー 執行役員 新規ビジネス推進部長 鈴木雅一氏は振り返る。

左からタイトー 執行役員 新規ビジネス推進部長 鈴木雅一氏、新規ビジネス推進部 電子マネー技術課 課長 森根憲生氏

2015年2月、マルチ電子マネー決済システムの導入を正式決定。同年5月にnanacoとWAONから導入を順次開始し、現在はSuica、PASMOなどの各種交通系や、独立系の楽天Edyも使用可能だ。読み取り端末は全店、メダルゲームや一部機種を除く全機種への設置を最終目標としており、現在7~8割が導入済み、フランチャイズ店への導入も積極的に進めている。

システムは端末側で情報を管理するリッチクライアント型を採用し、開発ベンダーの選定も信頼性と安定性に重きを置いた。ゲームセンターには訪日旅行客も多いため、パートナー企業の選定には、今後、新たな電子マネーを追加搭載する際に即時対応できる地力も重視した。店舗ごと数十から数百に上る非常に多くのゲーム機に端末を外付けするわけだが、ゲーム機はメーカーもデザインも多様なため、当然ながらつける位置は機種によって違う。プレイヤーの邪魔にならず、筐体にダメージを与えないように最善を探り、ゲーム機ごとのマニュアルを作成。「インフラである決済システムには、絶対にエラーがあってはいけない」(鈴木氏)と、週1店舗ほどのペースで慎重に進め、今ではノウハウが堅実に蓄積されてきている。

さらに2016年4月からは、業界初となる楽天Edy機能付き「タイトーステーションメンバーズカード」(税込300円)を販売開始。店頭で購入できるこのカードを200円利用するごとに、楽天スーパーポイントが通常の2倍付与される。

ポイントを活用してキャンペーンが打てるのも新たな強み
レンタル事業等の個別機器にはシンクライアント型を導入予定

電子マネー決済では価格やプレイ数を自由に設定できるため、より多くの選択肢を提供できる。また、客単価が電子マネー利用客では増加するという付帯効果も生じた。売上状況の即時管理や、顧客動向の把握も容易にできるようになった。店舗ごとに顧客の嗜好などが把握でき、新しい機械を導入する際などに役立つ。

電子マネーの導入により、利用客はコインレスでゲームを楽しめる

販促にも力を発揮している。流通系マネーの使用率が高いSC内店舗が好例で、「ショッピングモールのセール時に、ゲームセンターでもポイント2倍や5倍などのキャンペーンをしたり、価格を変えたりという形で参加できるようになりました」と、新規ビジネス推進部 電子マネー技術課 課長 森根憲生氏はメリットを挙げる。例えばイトーヨーカドー系のモールならnanaco、イオン系ならWAONのポイントアップ期間を設けることで、今までアピールが難しかった主婦層などへも訴求が可能だ。

一方で、観光地やスーパーなどへのレンタル事業等に用いられる、一台で単独で動く無線型のシステムにはシンクライアント型の採用を予定しており、JR長崎駅ビルや八景島シーパラダイスなどで実装テストを行っている。これが実現すれば、例えば山の中腹のような、今まではこまめな集金やメンテナンスが難しかった遠隔地にまで設置が叶うだろう。

さて、現在のところ、導入店での電子マネー使用率は想定より高く、交通系を中心に各マネーともまんべんなく利用されている。電子マネー専用店も試験的につくった。鈴木氏は、「タイトーのこの試みを契機に、他社のアミューズメント施設でも電子マネー決済が可能となればいいですね。ゲームセンター業界全体を考えると、この10年お客様の数は減っています。こういったものをどんどん導入して、業界が活性化していくといいと思っています」と語り、笑顔を見せた。

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