仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」実験開始、ブロックチェーン活用で新たな沿線活性化モデル構築へ

2017年9月1日18:21

近鉄グループホールディングスは、2017年9月1日から、三菱総合研究所の協力を得て、ブロックチェーン技術を活用した仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」の実証実験を開始した。実験店舗は、近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店(全体で約200店舗)および展望台「ハルカス300」(入場券、展望台内店舗)、あべのハルカス美術館(入場券)となり、最大5,000人が参加する予定だ。

現金5,000円に対し10,000コインを発行
店舗タブレットに表示のQRコードを利用者のスマホで読み取る

仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」利用者には、現金5,000円に対し10,000コインを発行。1コイン=1円相当となり、1万円相当の買い物が可能だ。実際の消費者にサービスを利用してもらうことにより、ブロックチェーンを活用した仮想通貨の技術的な仕組みの検証、課題の抽出を行う。

具体的な実証実験の流れとして、利用者はまず、近鉄百貨店のKIPSカウンターでコインに交換する。利用者はスマートフォンの専用アプリを立ち上げてログイン後、QRコードを表示。KIPカウンターでは、店舗タブレットのカメラで店員が利用者のQRコードを読み取る。その後、利用者から5,000円を受け取り、10,000コインが発行される。

サービスカウンターの様子

店舗では利用者がスマートフォンの専用アプリを立ち上げてログインし、購入する商品をレジに持参する。店員は店舗タブレットの画面に購入情報のQRコードを表示し、利用者はスマートフォンのカメラで店舗タブレットのQRコードを読み取り、商品情報を確認してからコインを送金する流れとなる。

店舗での決済の様子

実験店舗で利用するタブレットはNTTドコモが提供しており、売り場に約100台、サービスカウンターに4台の端末を設置している。近鉄百貨店では化粧品売り場などの一部の売り場で中国人向け決済サービス「Alipay」を導入しているが、今回は別のタブレットで処理を行っている。また、仮に本格展開する際は、ワンタイムパスワードによるQRコードの表示など、セキュリティをより強化したシステムにする方針だ。

近鉄グループ ホールディングス 事業開発部課長 藤田一人氏は、「利用者はスマートフォンだけで買い物できることで、カードを持つ必要がありません。今回の仕組みは第三者を介さないことと、ブロックチェーン技術を使用するため、コストを低減できる可能性があり、それをお客様に還元していきたいです」と説明する。また、BtoCに加え、CtoC取引でも利用できるという期待を示した。

近鉄グループ ホールディングス株式会社 事業開発部課長 藤田一人氏

将来は自治体やグループ外との連携も視野に
応募者は40~60代の会員が多い

今回は都市部での実験となったが、近鉄沿線には伊勢志摩の観光地や住宅地があることから、将来的にはそれらの地域でも実験を行いたいとしている。さらに、自治体や他の企業との連携も視野に入れる。

今後は、各地域の特性に応じた仮想地域通貨を展開することで、近鉄グループの各事業強化、新しい沿線活性化のモデルの構築を目指す。これにより、「鉄道ネットワークを中心とした基盤に加え、金融、そこから得られる情報を活用することにより、沿線の基盤強化を図り、沿線価値向上を目指していきたい」と藤田氏は話す。あわせて、仮想地域通貨を発行する機能、円などと交換する機能を持ったプラットフォームを構築し、沿線外の企業との連携を図る。

なお、今回はKIPS会員から参加者を募集したが、Web申し込みでは9,247名の応募があった。応募者は40~60代の会員が多く、女性比率が高かったそうだ。

今回の実証実験は10月1日で終了するが、「実験の結果を分析し、仮想地域通貨の特長を生かした新しいサービスを付加することにより次回の実験につなげていきたい」と藤田氏は構想を語った。

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ペイメントナビ編集部

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