経済産業省が2020年のキャッシュレス化に向けた方策を発表

2015年3月13日8:45

経済産業省が2020年のキャッシュレス化に向けた方策を発表
産業構造審議会割賦販売小委員会の審議は「中間的な論点整理」を踏まえて2月から再開

経済産業省は関係省庁と連名で2014年12月26日にキャッシュレス化に向けた方策をとりまとめ、発表した。同報告書では、①訪日外国人向けの利便性の向上等、②クレジットカード等を安全に利用できる環境の整備、③公的分野の効率性向上の観点からの電子決済の利用拡大について紹介されている。また、産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員では、クレジットカード取引を取り巻く環境変化を踏まえた安全・安心な利用環境の整備のための制度見直し等について議論している。昨年12月25日に「中間的な論点整理」を取りまとめ、2月17日から小委員会の審議を再開したところである。同省の取り組みについて、商務流通保安グループ 商取引・消費経済政策課 課長補佐 西沢正剛氏、同グループ 商取引監督課 課長補佐(消費者信用担当)北村敦司氏に話を聞いた。

3つの重点項目を発表

――2014年の年末に、キャッシュレス化に向けた方策をとりまとめて発表されましたね。
西沢 : 2014年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂において、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及についての対応策をとりまとめることが盛り込まれ、年内での取りまとめとなっていたため、年末に公表を行ったものです。

20150313meti――今回、3つの重点項目が盛り込まれました。
西沢 : まず、1番目の訪日外国人向けの対応としてATMについては、訪日外国人旅行者が日本にお越しになられた際、現金を引き出せないというお話を伺います。現状、セブン銀行とゆうちょ銀行他の一部の銀行しか対応できていませんが、観光庁の働きかけでメガバンク三行が2013年に対応を表明しました。また、外国人の方に話を伺うと、現金の引き出しで便利な場所として駅やコンビニエンスストアという声を聞きます。それを踏まえまして、ファミリーマート等へATMを設置しているイーネット様と、ローソンATM様に働きかけをしました結果、年末にイーネット様から対応について表明していただき、ローソンATM様からも準備を進めている旨の報告を受けました。

また、交通系ICカードの利便性の向上については、現在JR東日本様、JR西日本様にクレジットカード等にて交通系ICカードの購入を検討いただいておりますし、百貨店での面前決済の一般化につきましても、現在日本百貨店協会様にて検討委員会を設置いただき、検討をいただいているところであります。商店街や観光地への整備については、昨年全国22の地域で端末の設置をサポートさせていただきました。

2番目の安全に利用できる環境の整備については、後ほど割賦販売小委員の件と併せて説明をさせていただきます。

3番目の公的分野の効率性向上については、2017年1月のマイナンバー制度に伴って導入されるマイポータルにおいて、利用者が納税申告等と併せてシームレスに国税や年金保険料の電子納付を可能とするよう所要の措置の検討が行われます。地方税については、地方自治法の改正によって、地方自治体が公的納付にクレジットカードを利用できるようになっています。これは、民間企業の努力もあり地方税の公金決済は進んでいます。今回はさらに、マイナンバー制度の導入とあわせて、国税も制度を改正して環境を整えることが大きな点です。

――今後のキャッシュレス化に向けた方策についてはいかがでしょうか?
西沢 : まずは今回このようにキャッシュレス化に向けた方策がまとめられたわけですので、これを関係者・関係機関が進めていくことが重要だと考えています。日本は、韓国や米国と比べますと、クレジットカードの決済比率が劣っていますので、まずは、上位の国と同等の比率まで持っていければと考えています。国内をみますとクレジットカード以外にも電子マネー等カード決済は進んでおり、そういう意味でもキャッシュレス化は今後も進むものとみています。

悪質加盟店の排除に向けた取組について検討
情報漏洩対策も重要に

――クレジット取引の安全面の方針についてはいかがでしょうか?
北村 : この5年間の環境変化を見ても、電子商取引市場の拡大とともに、ECサイトを中心にクレジットカードが利用できる環境を提供している決済代行業者が存在感を増しています。このような取引構造の変化、最近の消費者相談の動向等を踏まえて、アクワイアラや決済代行業者等に対して悪質な加盟店を排除するための調査等のあり方について割賦販売小委員会で検討しています。また、日本クレジット協会が運営しているJDM(加盟店の情報交換制度)を活用して、悪質な加盟店を排除する取り組みを進めることで、業界としての透明性を引き続き高めていく方針です。

――ここ数年、EC加盟店から情報漏洩が相次いでいるように、クレジットカード番号の保護も課題となっています。
北村 : EC加盟店等からクレジットカード情報が漏洩する事案が続いていますが、この対策として1つは加盟店がカード番号を保持しない取り組みがあります。サイバーテロに遭えば、加盟店から数千、数万件が漏洩してしまう可能性があります。また、カード番号を保持しなければならない企業においてはPCI DSSのような一定の基準を満たす、さらに複層的なセキュリティ対策を講じる必要があります。

そして、決済端末のIC化も重要な課題です。2014年末に、日本クレジット協会が、2020年にICクレジットカード化100%を目指すことを決定しました。ただ、加盟店においてはIC対応のPOS端末の普及は進んでいません。ここは、流通系関係団体等と意見交換を行っていますが、今後は、加盟店のみならず機器メーカーやセキュリティ専業者等も交えた会議体を設置して、コスト低減の方策や効果的な導入促進等の知恵を絞って進めていきたいと考えています。

よって、セキュリティの課題については新たな会議体で議論を開始するとともに、悪質加盟店排除に向けた取り組み等の課題については割賦販売小委員会において夏までに議論を取りまとめたいと考えています。

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