日本同様にアジアでもEC決済の成長を支えるデジタルガレージグループ

2015年8月20日8:00

日本同様にアジアでもEC決済の成長を支えるデジタルガレージグループ
インドネシアではリーディングカンパニーに成長

デジタルガレージグループは子会社のecontext ASIA(イーコンテクストアジア)を通じて、中国・インドネシア・インド等のアジア各国で、オンライン決済サービスやeコマースにかかわるビジネスに取り組んでいる。日本でもクレジットカード決済やコンビニ決済といったeコマース市場を率先して形作ってきたベリトランス、イーコンテクストの実績をもとに、アジアでもEC決済の成長を支えるキープレイヤーとなっている。

「VeriTrans Indonesia」はインドネシアで6~7割のシェアを獲得
日本のベリトランスをインドネシアで再度作るイメージで展開

デジタルガレージグループでオンライン決済事業を担うecontext ASIAの子会社であるベリトランスとイーコンテクスト。ベリトランスは、米国CyberCashの日本法人として設立された1997年から、高セキュリティ・高技術を売りとした決済サービスを提供している。また、イーコンテクストは、国内のコンビニ決済で高いシェアを誇る。econtext ASIAでは、国内で培った高いセキュリティと多彩な決済システムを提供できる強みを海外においても発揮している。

ベリトランスは、2008年に銀聯決済を開始。2010年から海外現地での決済ソリューションの提供に軸足を移し、インドネシア等で事業を展開している。その背景として、アジアのeコマース市場は確実に伸び、クロスボーダーも含めてマーケットは大きく成長すると考えたからだ。海外現地での取り組みとしては、2012年1月に、ベリトランスとネットプライスドットコム(現BEENOS)がインドネシアで不動産・IT事業を展開する MidPlaza Groupと合同で設立したMIDTRANSがインドネシア市場 向けEC決済サービス「VeriTrans Indonesia」をリリースした。

「『VeriTrans Indonesia』は現地でも6~7割程度のシェアを獲得しています。ベリトランスは国内ではリーディングプレイヤーの一角ですが、“インドネシアでも、ネット決済といえばベリトランスと呼ばれるようになっています。取引量を見ても、日本では年間20~30%のペースで伸びていますが、インドネシアでは月間で同程度の成長が続いています」(econtext ASIA Executive Director and CEO兼ベリトランス代表取締役 執行役員 CEO 沖田貴史氏)

econtext ASIA Executive Director and CEO兼ベリトランス代表取締役 執行役員 CEO 沖田貴史氏
econtext ASIA Executive Director and CEO兼ベリトランス代表取締役 執行役員 CEO 沖田貴史氏

econtext ASIAのアジア展開では、決済サービスだけでなく、投資によるアプローチも行っている。たとえば、投資では、インドネシア最大のオンラインマーケットプレイス「Tokopedia(トコペディア)」に2012年の段階で出資。Tokopediaはその後ソフトバンクも出資し筆頭株主になっていた。決済処理の伸びも含め、econtext ASIAの投資効果は確実に表れていそうだ。

現在、インドネシアでは、TokopediaやRakuten Belanja Onlineといったモールはもちろん、航空会社のガルーダインドネシア、旅行サイトなど、さまざまなサイトで「VeriTrans Indonesia」の導入が進んでいる。沖田氏は、「現地で一緒になって、日本のベリトランスを再度作ったというイメージです」と説明する。

5年後には国内の売り上げを上回る規模に成長可能
サービスの品質や開発コストに対しての競争力が高い

実際のサービス提供に向けては、オペレーションはローカルパートナーが行うが、econtext ASIAでは技術やビジネスモデル、日本での経験などを提供している。MIDTRANS設立の際、MidPlaza Groupにはコミットメントを大きく3つ提出したそうだ。1つは技術面の支援、2つ目は包括契約や早期入金等のFinTech型ビジネスモデル、そして3つめは成功や失敗の経験のシェアとなる。沖田氏は、「国や習慣が違う中で、成功体験をきれいに他国に持ってくるのは難しいです。その点、失敗は普遍的な要素があるため、その共有が必要であると考えました」と話す。

2011年に現地でのプロジェクトがスタートし、2012年10月からサービスを開始したが、約2年でリーディングプレイヤーとなった。現在、インドネシアのEC市場は、日本の2005年の段階に似ているが、「現段階のペースで伸びれば、5年後にはベリトランスやイーコンテクストを合わせた取扱高を超えると想定されます」と沖田氏は期待する。

インドネシアでの成功の要因は、日本からフレームワークを持ってきたため、競合他社よりも品質や開発コストの競争力が高いことが挙げられるそうだ。日本のベリトランスの特徴である開発と運用に関するDNAを引き継いでいるため、グローバルプレイヤーとの競争でも「品質で負けずに価格競争力がある」と沖田氏は自信をみせる。さらに、たとえば東南アジアと一口に言ってもローカル決済の仕組みは国ごとに異なるため、現地に根を張ってサービスを展開できる強みもあるそうだ。

インドネシアでは現在、クレジットカードも順調に伸びているが、銀行振り込み、コンビニ決済、電子マネー決済なども展開している。沖田氏によると、「現地では、オンラインバンキングが定着しているのと、クレジットと違いブランドデビットはオンラインで使えないため、クレジット以外の銀行決済の伸びが大きい」という。クレジットカード決済については、インドネシアでもカード情報を加盟店が保持しない方式を採用している。

また、2013年8月28日に日本で簡易決済サービス「Veritrans Air」をリリースしたが、先行してインドネシアでもサービス提供を開始。VeriTrans Air は、「VeriTrans Indonesia」のエンジニアリングチームが中心となって開発を進め、日本に逆輸入した。今後は、インドネシアでもさらにシェアを広げるため、ショッピングカートとの連携を進めるとともに、M&A等を計画している。

インドではオンライン決済事業「Citrus」に出資
ベトナムの「Sendo」は最大規模のマーケットプレイスに

それ以外の国での取り組みとして、中国では、上海に現地大手決済会社との合弁会社VeriTrans Shanghaiを設立し、海外から中国に販売する際の決済サービスを提供している。インドでは、2013年からBEENOSおよび米国のSequoia Capitalとオンライン決済事業「Citrus(シトラス)」を手がけるCitrus Payment Solutionsに共同出資している(出資比率は、約15%)。「Citrus」は、インドにおいてEC事業者や公共サービス事業者向けにクレジットカード決済、銀行決済、デビットカード、代引き、分割払いなどの一括導入サービスを提供している。現状、海外の取引量はインドが最も大きいそうだ。

デジタルガレージグループ:アジアでの事業展開
デジタルガレージグループ:アジアでの事業展開

ベトナムでは、SBIホールディングス、BEENOSとともに、ベトナム最大のIT企業であるFPT Corporationおよび同社傘下のFPT Online社らと共同で、C2C、B2C向けオンラインマーケットプレイス「Sendo」を合弁事業化した。「Sendo」は、ベトナムでは第二位のオンラインマーケットプレイスとなり、オンライン決済サービス「SenPay」の普及を目指すとともに、将来的にモール上でのウォレット決済も考えられるとしている。「Sendo」は今年中には現地でトップのマーケットプレイスとなる予定であり、決済でも必然的に一位になる予定だ。なお、ベトナムは決済のレギュレーションが厳しいため、規制当局とも密にコミュニケーションを図りながら展開している。

インドネシアとベトナムでPCI DSSに準拠
2~3年で海外の取扱高が国内を超える想定

なお、econtext ASIAでは、インドネシアおよびベトナムにおいて、ペイメントカードの国際セキュリティ基準「PCI DSS」に準拠している。また、インドネシアでは、決済システムにフラウド(不正検知)機能を標準で搭載。同機能は、インドネシアの大学と産学共同開発している。

「インドネシアはカードの不正が多く、対面でのIC化も早期にスタートしましたが、不正のアルゴリズムとデータの研究が進んでいるため、日本をはじめ他国でも技術を提供していきたいと考えています。今後は、インド、インドネシア、日本でそれぞれ開発した製品を各国で提供することを予定しています」(沖田氏)

なお、対面決済の準備もシステム的にはできているという。たとえば、日本のクレジットカード決済、中国の銀聯は対面と非対面の契約は明確に分離されているが、東南アジアでは双方の契約が明確に分かれていない国もあるため、「まずはオンラインで一位となり、mPOS(モバイルPOS)もあわせて提供していきたいですね」と沖田氏は意気込みを口にする。また、対面環境では複数の決済端末が設置されているケースもあり、スイッチングセンターのような展開も想定している。

econtext ASIAでは今後、デジタルガレージグループ全体のリソースを積極的に活用していく方針だ。デジタルガレージは、金融機関に対してのマーケティングサービスも展開しており、eコマースとの関連性も高い。また、シリコンバレーに拠点を設けているように、情報の感度にも敏感で、新しいテクノロジーも提供しやすい土壌がある。

現状、econtext ASIA全体の売り上げに占める海外での取扱高は1~2割だが、2~3年すると海外が逆転するとみている。沖田氏は最後に、「われわれが想像していたように、アジアも成長していますし、クロスボーダーECも伸びています。現在でも中国以外で、複数カ国で展開しているアジアのEC決済のプレイヤーとしては最も認識されていると認識しています。アジアの方々もECで便利に幸せになってもらうのが大前提なので、付加価値をしっかり出していきたいと考えています」と語り、笑顔を見せた。

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