2015年9月4日 8:00

これまでクレジットカードのポイントや、ポイントプログラムの最新動向等の連載を行ってきたが今回で最終回となる。

最終回は「今後のポイントプログラム」についてだ。今後のポイントプログラムに大きく影響を与える業種を2つ紹介したい。1つ目はコンビニエンスストア、2つ目は電力・ガスだ。この2つの業種に注目する理由を説明していこう。

コンビニエンスストアは共通ポイントの生命線

まず、共通ポイントカードの主戦場とも言えるのがコンビニエンスストアとなる。業界2位のローソンはPontaカード、業界3位のファミリーマートはTカード、業界4位のサークルKサンクスはRポイントカードとなっている。

共通ポイントの運営にコンビニは必須であり、逆に言うと、コンビニを確保できていない共通ポイントは負けとなる。

では、現時点でのコンビニ業界の規模感を確認しよう。

  2013年の売上高(単位:十億円) 店舗数(2015年8月時点) ポイント
1位 セブン-イレブン 3,781 17,886店 nanacoポイント
2位 ローソン 1,945 12,276店 Pontaポイント
3位 ファミリーマート 1,722 11,404店 Tポイント
4位 サークルKサンクス 980 6,320店 楽天スーパーポイント

1位のセブン-イレブンが圧倒的で、2位、3位のローソン、ファミリーマートは接戦、4位のサークルKサンクス以下は大きく水を開けられていることがわかるだろう。

このコンビニ業界で大きな動きがある。

2015年3月10日に、ファミリーマートとサークルKサンクスの親会社ユニーが経営統合に向けての話し合いを行うと発表した。経営統合の具体的な内容は現時点では不明だが、サークルKサンクスの全店舗がファミリーマートに吸収されるだろうという話もある。

サークルKサンクスとファミリーマートが統合すると以下のようになる。ファミリーマートが業界2位に、ローソンが3位転落だ。

  2013年の売上高(単位:十億円) 店舗数(2015年8月時点) ポイント
1位 セブン-イレブン 3,781 17,886店 nanacoポイント
2位 ファミリーマート(+サークルKサンクス) 2,702 17,724店 Tポイント(+楽天スーパーポイント?)
3位 ローソン 1,945 12,276店 Pontaポイント

ここでポイントカードについて考えよう。ファミリーマートで利用できるポイントカードはTカード、サークルKサンクスで利用できるポイントカードはRポイントカードとなる。

Rポイントカード側とすると、旧サークルKサンクスではRポイントカードを、旧ファミリーマートではTカードとして欲しいと考えるだろう。しかし、2015年8月6日にファミリーマートはTポイントの運営会社Tポイント・ジャパンへの出資を決めた。サークルKサンクスがファミリーマートに吸収された場合は、Tポイント以外は受け付けないという意思表示ではないだろうか。

コンビニエンスストア使えなくなるRポイントカードは焦るだろう。最初に書いたように、コンビニエンスストアは共通ポイントの生命線で、コンビニエンスストアがなくなると負けとなるのだ。そこで、Rポイントカードが取った行動はローソンとの提携模索だろう。

2015年5月13日には、ドコモが共通ポイントカードサービスを開始すると発表し、提携先がローソンとなった。つまり、ローソンではdポイントカードとPontaカードを消費者が選択できる状態になるということだ。

元々、共通ポイントは排他契約(独占契約)となっていたが、dポイントカードがその契約を変更させたという事だ。dポイントカードがこじ開けた穴にRポイントカードも入り込むことはそれほど難しくはない。

2015年7月30日に日経ビジネスオンラインが、ローソンでRポイントカードが利用できるようになると報道した。報道は否定されているが、業界3位転落するローソン、コンビニを確保できなくなったRポイントカードが手を組む事は十分に有り得るだろう。

d-p-r-t

 

エネルギー自由化が共通ポイントと電子マネーのポイントをライバル関係に

共通ポイントと電子マネーのポイントは「使いやすく・貯めやすい」という点でポイント交換先としても人気だ。しかし、これらはライバル関係ではなく、共存関係にある。例えば、ファミリーマートでTカードを提示して、WAONで支払うと、TポイントとWAONポイントを同時に獲得できるのだ。

しかし、2016年以降のエネルギー自由化でこの共存関係がライバル関係に変わる可能性がある。

2015年1月24日、鳥取ガスの利用で貯まったポイントをWAONポイントに交換できるサービスが開始した。2015年5月には2016年1月以降、東京電力がTポイント、Pontaポイントを付与するサービスを開始すると発表。東京電力の利用者はTポイントかPontaポイントを選べるようになる。

2015年7月には、中日新聞が関西電力の利用者にWAONポイントを付与すると報道した(関西電力は否定)。しかし、既に鳥取ガスがWAONポイントに交換できるサービスを行っており、関西電力がWAONポイントを付与する可能性は高いだろう。

東京電力は付与するポイントに共通ポイントを選択したが、関西電力、鳥取ガスなどの地方の電力・ガス会社はWAONポイントを採用した、またはする予定だ。共通ポイントはおそらく首都圏が中心となっているだろう。共通ポイントの主戦場はコンビニエンスストアと書いたように、どれだけコンビニが近所にあるかで消費者にとっての使いやすさが変わってくる。コンビニが近くにない場合は共通ポイントといえども、「使いやすいポイント」にはならないのだ。

地方の場合は、コンビニが密集していないため、消費者にとっては電気・ガスで共通ポイントが貯まっても、それほどメリットには感じないのではないだろうか。そこで、地方に強いイオンが候補となったと思われる。

電力自由化に関しては楽天の動きも見逃せない。2015年5月22日に伊藤忠エネクスのガソリンスタンドでRポイントカードの利用ができるようになると発表したが、これは単純にRポイントカードが利用できるガソリンスタンドが増えたというだけではない。伊藤忠エネクスは電力・LPガス事業も行っており、電力・ガスの自由化を見据えた提携だろう。また、楽天は千葉のクレックスと提携するなど、大手ではなく、中小の電力・ガス会社と提携している。

これは、楽天エナジーとして電力の最適化を行うサービス「iシェアリングサービス」を提供しているため、大手電力会社は楽天のライバル関係にあるはずだ。そのため、今後も大手電力会社では楽天スーパーポイントが貯まる事はないと思われる。

電力自由化の2016年4月まで、ガス自由化の2017年まではまだまだ時間もある。これ以降も、どんどんポイントとの提携発表が行われるだろう。

以前、今後のポイント業界は共通ポイントや電子マネーのポイントが牽引すると書いたが、今後は、共通ポイント同士の闘い、電子マネーのポイント同士の闘いだけでなく、「共通ポイント vs 電子マネーのポイント」の戦国時代へと突入していく事になるのだ。

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