台湾のモバイル決済プロジェクト「台湾ペイ」とは?

2018年7月4日8:30

日本キャッシュレス化協会の日本再興戦略「キャッシュレスが創る未来」で講演

一般社団法人日本キャッシュレス化協会は、2018年6月21日、同協会主催の第2回セミナーとして日本再興戦略「キャッシュレスが創る未来」を開催した。当日は、台湾の大手決済サービス事業者の臺灣行動支付(TWMP:台湾モバイルペイメント)副社長/台湾FISC(Financial Information Service Co.Ltd.)顧問の徐文玲氏が「台湾ペイ(台灣行動支付)」について紹介した。

一般社団法人日本キャッシュレス化協会セミナーの登壇者。左から2人が台湾モバイルペイメント副社長 徐 文玲 氏。左がアマゾンジャパン合同会社 Amazon Pay 事業本部 本部長 井野川 拓也氏、3人目が一般社団法人日本キャッシュレス化協会専務理事 高木 純氏、pring(プリン)代表取締役CEO 荻原 充彦氏。当日はパネルセッションも行われた

モバイル決済会社、電子マネー、金融機関のQRコード決済規格を統一
台湾の支払いのエコシステムを形成へ

TWMPは、台湾で32の銀行やクレジットカード会社の共同出資で設立された政府主導の決済企業だ。台湾FISCは、台湾国内の銀行が加盟する銀行間ネットワー クを運営している。金融情報の交換、銀行間決済のハブとなり、台湾全体の金融サービスを提供する以外にペイメントシステムのプラットフォームを構築する役割も担っている。また、台湾全体の金融の競争力を高める役割もある。業務として、台湾国内の税金支払いのプラットフォームを構築した。また、全ての金融機関に対し、資金調達のプラットフォームを策定。クレジットカードとキャッシュカードの推進に向け、支払いサービスの共用のプラットフォームを作った。さらに、QRコードの規格統一プラットフォームも策定している。

FISCは、2010年1月から、台湾キャッシュカードにより、海外のATMで引き出し可能なプラットフォームを構築している。すでに、日本国内のATMで現金を引き出すことができる。また、日本の複数の加盟店で、キャッシュカードを利用したデビット決済が可能だ。ファミリーマート、サークルK、主要な空港でも使用可能となった。2018年5月末の集計で、23行の銀行のカードが我々のサービスに加盟している。2018年3月末までの統計だが、流通しているカード枚数は、台湾国内のカード発行枚数の65.64%にあたる6,510万枚に達した。今後も多くの金融機関が海外のATMでお金を引き出すサービスに加盟していくとした。

台湾では、金融管理委員会が2016年5月にキャッシュレス化に向け、モバイルペイメントの5年倍増計画を策定した。2016年の26%から、2020年には52%まで引き上げる計画をたてた。そして、行政委員長が2017年9月に2025年のモバイルペイメントの普及率を90%以上にすると宣言している。スマホの使用者のうち、2020年は50%、2025年は90%がモバイル決済を行うことが目標だ。また、モバイルペイメントを推進する背景として、クレジットカードの不良債権の解消や、一般の消費税の滞納を解決する目的もあった。さらに、政府のもう1つの狙いとして、国民の取り引きデータを台湾国内に残すこともある。政府は、台湾をデジタル立国にしたいと考えており、一般の人々が身近なところで金融サービスを受けられるようにしたいそうだ。

現在、台湾には、JKOPAY など主要なモバイルペイメント会社が6社、Easy Cardなど主要な交通系電子マネーは4つある。また、台湾国内には37行の銀行があり、それぞれが自身のQRコードサービスを推進しようとしている。そのため、店舗にはさまざまなQRコードが乱立している状況だ。そのような背景があるために、台湾政府はQRコードの統一規格策定をFISCに委託した。台湾のモバイル決済会社、電子マネー、金融機関が提供するQRコード決済の規格を統一することに加え、店舗に導入してもらうことで、支払いのエコシステムを形成する狙いもある。また、台湾Payのデザインのコンセプトとして、一般的な消費者、零細店舗のすべてが安心して使用できる国民的な金融サービスを目指しているそうだ。

まずは、キャッシュカードからスタートし、モバイルペイメントの導入、インターネットバンキングといったように、段階的に推進している。徐氏は、「最終的にはクレジットのQRコード、交通系電子マネーも取り入れていきたいです。台湾Payのサービス範囲は、買い物、支払い、振り込みなど、広範囲に及びます。最終的には身分証明になるようにしていきたいです」とした。

QRコード決済以外にタッチ式のNFC決済も可能
銀聯やVisa、Mastercardにも対応へ

QRコードの魅力として、1枚のシールを店舗に貼るだけでサービスを提供できる点を挙げた。また、店舗はお金を収納するアプリケーションとして活用できる。店舗での支払いに加え、寄付などにも活用可能だ。

台湾Payでは、QRコード決済以外にタッチ式のNFC決済も利用できる。すでに、タクシー、コンビニエンスストア、アウトレット、携帯ショップなどに7万6,000台の端末が導入されている。

QRコード決済は、2017年9月に導入を開始。2018年3月には、クラウドレシートを導入している。7月には、コンビニエンスストアにも台湾ペイのQR決済を続々と導入する予定だ。今年4月時点で、QRコード決済を導入した店舗数は2万6,000店舗、取引回数は96万回、金額は40億台湾ドルに達している。

サービスを導入した銀行は20行に上り、今年の年末に導入予定の銀行は12行あるという。2018年下半期には、QRコードによるクレジットカード払いを導入する予定だ。それを実現するために、さまざまな会社のロゴをいれたQRコードが登場する。クレジットカードのQR推進の過程において、2018年11月に台湾国内での取引がスタートし、12月に銀聯も導入する。2019年3月にVisaやMastercardなどのブランドにも対応する予定だ。

QRコードの規格統一ではEMVCoの規格を参考に

日本のQR決済との連携に期待
法人税を引き下げ普及を後押し

なお、台湾Payのウォレットには、AndroidとiOSがある。Androidは、NFCのタッチ式、QRコードのサービスに対応している。アプリでは、店舗での支払いに加え、税金の支払い、金額のモバイル引き出しが可能だ。店舗向けのアプリでは、10行の銀行が加盟しており、年末には16行まで増える予定だ。

現在、台湾以外にもシンガポール、香港などでQRコードの規格統一の動きが進んでいるという。日本でもQR・バーコード決済の規格統一が進むと予測されるが、「台湾Payと日本の提携ができることを期待しています。たとえば、台湾の観光客が日本に来たときに便利に、台湾Payを使って支払うことができ、逆に日本の観光客が日本で普段使っているモバイルペイメントも使えるようなことを実現したいです」と述べた。

台湾におけるQR決済の目標について参考としたのは、中国だったという。台湾では、モバイル決済利用時による店舗事業者の法人税を2020年まで1%にすることで、普及を後押ししている(通常は5%)。

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