シンガポールで利用が拡大する携帯による送金サービス「PayNow」とは?

2018年12月11日9:02

シンガポール銀行協会(The Association of Banks in Singapore:ABS)は、2017年7月10日から、携帯電話を活用したPeer to Peerの送金サービス「PayNow」を展開している。2018年8 月13日からは、同サービスの機能を拡張し、法人向けの「PayNow Corporate」を開始した。「Singapore Fintech Festival2018」において、ABSに「PayNow」の取り組みについて話を聞いた。ABSは、投資銀行を含め、シンガポール155銀行がメンバーとなっている。

シンガポールの銀行間で送金・受け取りが可能な「PayNow」
利用者は無料で24時間365日利用可能

ABSでは、2014年に決済ステータスメッセージング規格「ISO20022」に基づいたFAST((Fast And Secure Transfers:ファースト・アンド・セキュア・トランスファー)と呼ばれる、資金を送金・受け取りできるサービスを紹介した。同サービスは、銀行間の送金を即時にいつでも24時間365日利用可能で、顧客は無料で利用できる。

中央がThe Association of Banks in Singaporeディレクター Mrs Ong-Ang Ai Boon氏、左がABS Benchmarks Administration Co Pte Ltd マネージャー Nicholas See氏、右がBanking Computer Services(A subsidiary of NETS)ナショナル・ペイメント・サービス チーフ・エグゼクティブ・オフィサー Jimmy Quek氏

2017年7月10日からは、参加銀行の利用者が携帯電話番号もしくはNRIC(National Registration Identification Card:ナショナル・レジストレーション・アイデンティティ・カード)番号/外国人居住者の登録番号(Foreign Identification Number:FIN)を使用し、FASTを介して即座に送金や受け取りできるようにするPeer to Peerのファンド送金サービスを開始した。オペレーターはBCSが担っている。利用者は自身が好みの銀行を登録することができる。

シンガポールでは、DBSが「PayLah!(ペイラー)」、OCBCが「PayAnyone(ペイエニワン)」、UOBが「UOB Mighty(UOBマイティ)といったeWALLETサービスをそれぞれ提供している。いずれも特徴のあるサービスだが、銀行によってアプリや送金の仕組みが異なっている。また、銀行が独自に提供するeWALLETサービスの場合、当該銀行のみでの取引が中心だった。

「PayNow」では、参加銀行のシンガポールの銀行口座を保有していれば、異なる銀行でも資金を受け取ることができる。The Association of Banks in Singaporeディレクター Mrs Ong-Ang Ai Boon氏は、「違う銀行間で送金ができますので、利用者の利便性という意味で大きく変わっています」と説明する。

「PayNow」の参加銀行は、DBS銀行/ POSB、シティバンク、HSBC、メイバンク、OCBC、スタンダードチャータード銀行、United Overseas Bank、中国銀行、ICBCとなる。

法人向けの「PayNow Corporate」を開始
UENをリンクさせ、ビジネスや政府への支払いに活用へ

2018年8月13日からは、「PayNow」の機能を拡張し、法人向けの「PayNow Corporate」を展開。「PayNow Corporate」では、参加している9つの銀行で、ビジネスへの支払いや受領、政府への支払いなど、さまざまな資金送金のニーズに「PayNow」を使用することが可能だ。

シンガポールで発行された「ユニークエンティティ番号(Unique Entity Number:UEN)」をシンガポールの銀行口座にリンクすることにより、支払いができる。また、UENには、会社の番号に4万通りのサフィックスを付けることができるため、どのような商品の売上があったのかを把握することに役立てられる。

「PayNow」では、電話代やガス料金等の支払いの利便性向上に向け、QRコードのオプションを提供している。これにより、現金と小切手の取り扱いを減らすことができる。「PayNow」のQRコードは、シンガポールの統一QRコードである「SGQR」の規格に基づいている。

セキュリティ面でも強固なサービスを提供しているという。1,000シンガポールドル以上の送金に関しては、ワンタイムパスワードによる2段階の認証が必要だ。また、利用者には、取引があった際、携帯電話に即座に通知が送られる。

なお、個人間、流通についての決済手数料は不要だが、コーポレートに関しては手数料がかかるという。「PayNow」は、銀行にとって消費者へのサービスであり、投資の一部だと考えている。

全国銀行協会とFinTech協力で覚書を締結
ASEANで国をまたいでの送金を検討へ

ABSでは、2018年10月19日、日本の全国銀行協会と、両協会間の協力関係に関する覚書(Memorandum of Understanding)および同覚書にもとづくFinTech(フィンテック)に関する協力についての非拘束的合意(Non-binding Cooperation Agreement on FinTech)を締結している。「PayNow」の取り組みには、全国銀行協会も関心を示しているそうだ。

現状、「PayNow」の利用者は、法人利用も含め、2,200万人。21億シンガポールドルの取引があり、サービス開始後は想定通りの利用があるという。Mrs Ong-Ang Ai Boon氏は、「次のステップとして、ASEANでまずは国をまたいでの送金ができるようになればいいですね」と話す。タイでは、「PayNow」と同様に携帯電話番号で送金できる「Prompt Pay」というサービスが行われているため、スキームをリンクさせる方法などができればと考えているそうだ。

※取材は「Singapore Fintech Festival2018」のシンガポール銀行協会(The Association of Banks in Singapore:ABS)ブースにて。

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